福の屋

熊本滞在の最終日、夕方のフライトまでの時間つぶしで立ち寄ったのが今回紹介する福の屋。熊本市街で昼酒が飲める貴重な店だ。場所は以前紹介したニックのあるサンロード新市街の脇道沿い、競輪の場外売り場・サテライトの近くにある。

熊本市 新市街 福の屋

道路に面したはめ殺し窓には「お好み焼・やきそば」の文字があるので、本来はコナモン屋さんなのだろう。暖簾を潜って入店。客席はカウンター7席ほどとテーブル3卓。平日の昼下がりで先客2人、あとから1人。先客は食事だけだったが、あとからの常連さんはお酒も呑んでいた。

瓶ビール(大) 660円

まずは瓶ビール(大・660円)を注文。キリン、一番搾り、アサヒから一番搾りを選択。グラスも一番搾り。厨房には女将さん。客席に「お父さん」と呼ばれるおっちゃんがいて配膳や片付けを手伝っている。ちょっとふらふらしてて感じで危なっかしいが、ほほえましくもある。

おでん 1本 110円

メニューはコナモンから魚介系、炒め物や揚げ物など多岐に渡って充実している。その中からとりあえずおでん(一本110円)をお願いした。チョイスしたのはごぼう巻き、玉子、牛すじ。あっさり風味の出汁がよーく滲みている。コリコリ食感の牛すじが特に美味しい。

熊本の豚足 480円

続いて地元の米焼酎、白岳しろ(420円)の水割りと豚足(480円)を注文。熊本の豚足はケンミンSHOWで揚げ豚足と紹介された独特な品だ。表面はカリカリで、中はモチモチのトロットロ。タレは二杯酢なのか、酸味が豚足の脂を和らげてくれる。付け合せのキャベツも合う。酔いも手伝って女将さんに話しかけてみた。

「熊本の豚足食べるの、初めてなんですよ」
「美味しいでしょう」
「ええ、こういう揚げてあるの初めてです」
「揚げてるんじゃなくて焼いてるんですよ」
「え、それでこんなにカリカリに?」
「香味野菜を使って蒸してるんで臭みもないでしょう」
「ですね、ほんと美味しいです」

揚げじゃなくて焼いているんですと

「どちらから」「東京です」という話から地震や前夜の豪雨などの話になった。こちらのお店も水に浸かりかけたそうだ。地震のあとに水害って、泣きっ面にハチだよなあ……

熊本市 福の屋 メニューの一部

さて、そろそろ焼きそばを注文しよう。焼きそばもお好み焼も肉入りやイカ入りが620円から。モダン焼や焼ちゃんぽんもある。少し迷ってミックス焼きそば(720円)と白岳しろのお代わりを注文。調理の様子はわからず。鉄板じゃなくてフライパンで作ってるのかな。

ミックス焼きそば 720円

麺は中細のストレート麺。具は肉とイカとキャベツ。トッピングに玉子。目玉焼きの黄身を崩した感じに焼き上げてある。さらに青海苔のトッピングと脇に微塵切り紅生姜。鰹節や削り粉はなし。

モチモチシコシコの麺が美味しい

味付けはフルーティーなソース味であっさりめ。麺はこれまで熊本で食べ歩いた店より気持ち細めだが、モチ・シコ系の食感はタイプ的に似ている。酒の肴にもちょうど良い、気取らず食べられる美味しい焼きそばだ。昼酒にはこれだよなあ。

「食べログかなんかで地震のあとに閉まっている写真しかないから、開いているのに書き換えといてください」
「あはは、わかりました、やっときます」

空港へのバスは倍の時間を見込んだ方がよい、とのアドバイスに従い、ほどほどの酔い加減で早めに切り上げた。お会計は3030円。いやあ、いいお店だった。また熊本に来たときは寄らせていただこう。

5日間の熊本滞在でいろいろと食べ歩いたけど、これまで見過ごされて熊本の焼きそばやコナモンの食文化が、神保町のみかさのブレイクをきっかけに注目されるようになるといいなあ。まだまだ地震の影響は大きいけれども、7月から実施された「九州ふっこう割」などを利用して観光に訪れるのも復興の一助になると思う。熊本のちょぼ焼や焼きそばに興味を持たれた方はぜひ訪問して実食してみてくださいませ。

あっ、締めみたいになったけど、熊本のお店、もう一週間続きます。

福の屋

店舗情報TEL: 096-352-6351
住所: 熊本県熊本市中央区新市街12-24
営業時間: 13:00~23:00
定休日: 月曜日
主なメニュー焼きそば・お好み焼
 肉・イカ・玉子 各620円
 ミックス 720円

おでん 1本 110円
豚足 480円