元祖どてやき

2014年3月22日

「元祖どてやき」という店の存在を、山梨出身のバイク仲間・Mr.mudさんから教えていただいたのは3年ほど前のことだった。

元祖どてやき

「どてやきといえば大阪じゃないの?」
「なんで甲府で"元祖"なの??」
「しかも美味い焼きそばがあるって、どういうこと???」

当時の自分はクエスチョンマークが頭の中に溢れたが、何度か訪れるうちに疑問も解消されてきた。元祖どてやきは大阪出身の初代店主が昭和十二年に開業した店で、現店主は既に三代目だそうだ。串刺しにしたモツを味噌で柔らかく煮込んだ「どてやき」を売り続けて、もう七十年を超える。これだけ長くやっていれば、元祖を名乗っても文句は出まい。

今回は五月の下旬、土曜日の夕方にMr.mudさんと友達Tさんとで訪れた。私はこれで三度目だが、Tさんは初どてやきだ。寂れつつある甲府のアーケード街を抜けて「どてやき」と染め抜かれた暖簾を潜って店内に入ると、そこには猥雑さに満ちた異空間が待っている。

ぶらさがる新聞紙やボルスという酒など謎の多い店だ

奥のテーブル席へ着座して、とりあえずビール2本、どてやき3皿、おしんこを注文。白味噌ベースのタレで煮られたどてやきは、見た目よりあっさりした味わいで食べ飽きない。一皿くらいは一人でペロリと平らげてしまう。もちろん肴としても旨い。七味唐辛子を掛けると一層酒が進む。

どてやき(一皿四本) 240円

店内にはチリ紙大に切られた新聞紙が紐であちこちに吊り下げられている。手や口の周りが汚れたらこの新聞紙を使って拭くのがこの店の流儀なのだ。mudさんがTさんにそう説明したところ、壁際に用意されていた箱ティッシュを発見。「この店も変わっちまった」と嘆きつつ、Mr.mudさんがグラスを煽る。

どてやきの追加や「ボルス」というこの店独特の飲み物、梅ワリ、別の焼き物などの注文を経て、いよいよ締めの焼そば450円がやってきた。

焼そば 450円

やや太めの蒸し麺とざく切りにしたキャベツをソースで炒めた焼きそばに、どてやきのタレがドバッと掛けられている。ソースと味噌ダレ、どてやきの切れっ端が渾然一体となった複雑玄妙な味わいだ。卓上にウスターソースがあるが敢えて使う必要も無いだろう。酒の肴にも締めにもなる、呑兵衛には堪えられない逸品である。

大阪の地からやってきて甲斐の国に根付いた食文化を、機会があったらぜひ一度試して欲しい。営業時間が午後四時から八時までと短い上、すぐ満席になるので訪れる際はお早めに。

どてやき