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一休

渋谷の歓楽街、百軒店(ひゃっけんだな)。風俗店だけでなく飲食店もチラホラあるが、一見さんはちょっと入り難い雰囲気の店も多い。1956年(昭和31年)創業のお好み焼屋・一休もちょっと躊躇してしまう店構えだ。

百軒店 お好み焼 一休

頃は2年弱前の2014年7月末。平日の19時半ごろに一人で入店すると、「いらっしゃいませ」と年配の女将さんが出迎えてくれた。鄙びてはいるが清潔感のある店舗だ。外国人観光客を連れてきたら喜びそう。

一休 店内の様子

入って左手に鉄板台が3卓。奥にも座敷席があるらしい。たまたまこの日は先客がおらず手近な席に腰掛けた。さてメニュー。「渋谷でこの店構えだからお高いんでしょう?」と思わせといてすこぶる安い。焼きそばは450円、お好み焼は500円、玉子なしだと400円からある。客が自分で焼くスタイルなのだが、それにしても安い。「ザーサイ」とか「スパゲッティ」とか「ホットケーキ」とか、気になる文字もチラホラある。

一休 メニュー

「生ビール(500円)と焼きそば(450円)ください」
「はいねー」

ちなみに料理だけでなく酒も安い。レモンサワーもウーロンハイも一杯300円。ウイスキーに至っては、ロバートブラウンのシングルが200円、シーバースリーガルが250円と破格なのだ。「ウイスキーとウーロン茶が同じ値段かー」なんて感心していると、焼きそばの材料が運ばれて来た。

焼きそばの材料が渡されます

麺は中細麺。具はキャベツ・モヤシ・短冊切りのナルト。紅生姜を残して、麺と具を別々に焼く。麺はじっくり動かさず。塩コショウで下味をつけつつ、野菜を混ぜ炒める。

鉄板で好きなように炒めましょう

味付けはウスターとお好みソースの2種をブレンド。ソースを掛けながら全部を混ぜ炒めて皿に盛り付け。卓上の青海苔を振りかけて出来上がり。

焼きそば 450円

まず一口。ふむ……薄い。こういう店で自分で作ると、味付けの加減がわからず薄めにしてしまうのが自分の癖のようだ。が、薄い分には後掛けソースでなんとでもなる。失敗してもそれなりに美味しく食べられるのが焼きそばの利点なのだ。もぐもぐ。

焼きそばだけでは物足りないので、瓶ビール(550円)と一休焼(500円)を追加注文。一休焼は屋号を冠したお好み焼だ。キャベツの千切りと小麦粉を溶いた生地。それに玉子、蒲鉾、椎茸、長葱が入った器を渡される。

続いてお好み焼も焼きます

こぼれても大丈夫なよう鉄板の上に腕を伸ばし、天地返しの要領で器の底から具材を混ぜる。ざっくり全体が混ざったら熱した鉄板に乗せる。空気を含ませるように混ぜ、さらに厚みを持たせて焼くのがコツ。そうするとフワッとした仕上がりになるのよね。

一休焼き 500円

片面をじっくりよーく焼いて、ひっくり返してさらに焼く。中心まで火が通ったことを確認して、ソースを塗り、青海苔を掛けてできあがり。熱々でうまうま。ソースの銘柄によるものか、具が和風に寄っているお陰か、生地の出汁の風味を活かした品の良い味わいだ。ボリュームは軽めで一人一枚はペロリといけそう。

ふんわり焼きあがりました

1時間弱の滞在で、お会計は2000円ジャスト! うーむ、こちらが申し訳なくなるくらいの安さだのぅ。

「美味しかったです、しかもほんとに安いですね」
「そう言っていただくとなによりです、またいらして下さい」

焼きそばも一休焼きも、肉や魚介を使わず、あくまでも蒲鉾やナルトってのがストイックで好ましかった。色欲の街で精進料理もどきとは、破戒僧・一休宗純禅師の名に相応しい品である。善哉善哉。いい店みつけた。今度は複数人で来たいなー。

一休

店舗情報TEL:03-3461-2238
住所:東京都渋谷区道玄坂2-18-6
営業時間:18:00~23:00
定休日:日曜・祝日
ホームページ
主なメニューお好み焼 500円~(玉子なしは400円)
一休焼き(蒲鉾、椎茸、長葱) 500円
焼きそば 450円 焼きうどん 450円

生ビール 500円 瓶ビール 550円
レモンサワー・ウーロンハイ 300円
ロバートブラウン
 シングル 200円 ダブル 350円
シーバースリーガル
 シングル 250円 ダブル 450円