鳳蘭
鳳蘭。と言っても宝塚出身のベテラン女優さんではない。あちらは「おおとり」らんで、こちらは「ほう」らん。函館塩ラーメンで有名な老舗のラーメン屋である。この店の焼きそばがちょっと変わっているらしい。
訪れたのは昨年の6月中旬、平日の夜。鳥辰で焼き鳥を肴に飲んだ〆に寄ってみた。函館の繁華街・松風町は、護国神社通りに面した店舗の暖簾を潜る。
店内は奥に長く、客席はカウンター9席、テーブル6卓。20:30で先客は無し。店員はのんびりテレビを見ていた。うむうむ、これがラーメン屋の本来あるべき姿だと思う。
さてメニュー。一押しの塩ラーメンの他、カレーやチャーハンもある。焼きそばは「パリパリ」と「やわらか」の2種類あってどちらも800円。特徴的なのは「やわらか」の方でそちらを注文。中華鍋で予め具材に火を通し茹で上げた麺を投入。5分ほどで出来上がり。付け合せのスープの後に運ばれてきた。
さて、この店の焼きそば(やわらか)はつゆだくなのが特徴だ。予習した通り、麺がつゆにヒタヒタと浸かっている。次回もう一軒紹介するが、どうも函館近辺にはこんな感じの焼きそば文化があるようなのだ。
麺は細麺でかなり柔らかい。全然焼いておらず、具と炒め煮したような品だ。ちと麺が茹で過ぎかと思うがこれがこの店の文化だろう。具は大ぶりの海老と帆立に豚肉・長葱・玉葱・木耳・筍・グリンピース。魚介の旨味がダシに滲み出てる。
最初は味の印象が薄かったが食べ進めるうちにつゆの旨味がどんどん増す。それを吸った麺も美味。柔らかさもこのためか。つゆを飲み干さずには居られない。付け合せの玉子スープも実に美味い。塩ラーメンが自慢の店だけにさっぱりしつつもコクのある味わいだった。
帰り際、壁に多数飾られている色紙の一枚に目が留まった。
「鳳蘭さんへ 鳳蘭」
ははー。「おおとり」さん、ご本人もいらしてたのね。写真とサインにこっちまでつい微笑んでしまった。
【2017.09追記】
2017年8月上旬に再訪。塩ラーメンをいただいた。シンプルだけど奥深い味わい。やはりベースがしっかりしている。しかしやはり焼きそばもいいなあ。
店舗情報 | TEL:0138-22-8086 住所:北海道函館市松風町5-13 営業時間:11:00~21:30 定休日:不定休 |
---|---|
主なメニュー | 焼きそば(やわらか) 800円 焼きそば(パリパリ) 800円 塩らーめん 550円 |
ディスカッション
コメント一覧
函館の文化でもあった柔らかい焼きそばを提供する店は、ますます少なくなっています。鳳蘭は今ではその代表格ですね。
このタイプが絶品だった「王さん」、「あけぼの」などは既にありません。もう一店となれば五稜郭の「あじたか」でしょうね。
まーしーさん、コメントありがとうございます!
昨夏に函館を訪れた際には貴サイトを大いに参考にさせていただきました。
あけぼのも寄ってみましたがご存知の通り既に閉店してしまっていて……
あじたかは未訪問ですので次回の宿題として楽しみにしておきます。