安藤
東武線の宇都宮駅からオリオンモールを東に進むと、右の小路にやきそばの暖簾の架かった小さな店がある。それが一部で有名な焼きそば専門店、安藤だ。
訪れたのは前回紹介した石田屋と同じ日の黄昏時。一見すると暖簾以外にお店らしさが伺えないが、テイクアウトの客もイートインの客も引っ切り無しにやってくる。入店すると同時にオーダー担当の女性から矢継ぎ早に質問された。
「いらっしゃいませ、持ち帰りですか?」
「いえ、食べていきます」
「ご注文は?」
「えっと……」
「メニューはあちらになります」
壁の貼紙には小・並・大盛の三種類のサイズと値段が書かれている。順に200円、250円、300円とやたら安い。肉や玉子のオプションすらない、頗るストイックな焼きそば屋である。
「並(250円)を一つ」
「はい、お掛けになってお待ちください」
イートイン用の客席はテーブルが4卓。その一つに腰掛けて運ばれてきたお冷やで喉を潤す。テーブルには「はじめての方へ」と題した一文が置かれていた。
『具はキャベツのみ』『代金は先払い』『ソースを掛けるのは一口食べてから決めること』以上が一見客の心得三か条らしい。「サー、イエッサー!!」とつぶやきながら心の中で復唱して内容を頭に叩き込む。と、焼きそばが運ばれてきた。
「お待たせしました、250円になります」
「え? あ!? はい!!!」
心構えを覚えるのに夢中で代金を用意するのをすっかり忘れてた。たどたどしく支払って、さて、いただきます。
麺は太めでゴワゴワした食感の蒸し麺。具は前述の通りキャベツのみ。心得にあったようにまずは一口食べて味付けの具合を確かめる。ふむ、結構酸味の利いたソース味だ。これなら後掛けソースは要らなそうだ。ふむふむ、美味い。七味は良く合う。美味い美味い。
250円とは思えない量だったがペロリと平らげてしまった。この日は食べ歩きでお腹に余裕が無かったが腹ペコだったらお代わりしたくなりそうだ。たっぷり食べても具がキャベツだけなのでそれほどもたれないだろう。
それにしても大盛で300円ってのは食べ盛りの学生にとっては実にありがたいだろうなあ。大盛の量の目安に「高校生一人」と書いてあるけど、俺の高校生の頃にも、こんな店が近所にあればなあー。
店舗情報 | TEL:028-636-3394 住所:栃木県宇都宮市江野町8-12 営業時間:12:00頃~20:30頃 定休日:水曜日 |
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主なメニュー | 焼きそば 小 200円 並 250円 大盛 300円 |
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