きっかぶ
全国のコナモン屋特集も今週で5週目。関東から3軒紹介して〆といたします。どの店も訪問から2~3年経ってしまい、情報が古いかも知れませんがご容赦のほどを。
東武鉄道鬼怒川線の鬼怒川温泉駅から程近い住宅街に「きっかぶ」という名前のこじんまりした焼きそば専門店がある。訪れたのは2011年11月上旬のことで、もう3年近く経ってしまった。今さらだけど、良い店だったのでこの機会に紹介しておこう。
土曜日の昼時に訪問。焼きそばと書かれた幟が無ければ素通りしてしまいそうな外観だ。店内へ入ると、若々しい女将さんと、その娘の別嬪さんが「いらっしゃいませー」と迎えてくれた。
「焼きそばを一つ食べて行きたいのですが大丈夫ですか?」
「はい、少しお時間が掛かりますがよろしいですか?」
「ええ、のんびり待ちますんで」
テイクアウトが基本のお店なので店内にはカウンターが数席とテーブル一つしかない。そのテーブルに着いていた家族連れが「じゃ、私たちはこれで」と気を利かせて空けてくれた。娘さんが煎れてくれた香ばしいお茶を啜りながら、焼きそばの出来上がりを待つ。その間、明るくてお喋り好きの店主から店名の由来などを伺った。
訊けば「きっかぶ」という店名には二つ意味が込められているそうだ。一つは木の「切り株」。森の中の切り株に疲れた腰を下ろすように、このお店で皆にくつろいで欲しいという想い。もう一つは、この地方の方言で「きっかぶ戻し」と呼ぶ、ある種のキノコの群生のこと。隙間無く密集するキノコの様にこの店もお客さんで賑わって欲しい、という願いだそうだ。
そんなことを話す間に焼きそばが出来上がった。そういえば注文時にサイズを言い忘れたが、このお店では300円から焼きそばのサイズを指定できる。今回は私の体格から判断していただいたのだろう、成人男性が通常食べる500円サイズが盛られてきた。
麺は中太の縮れた蒸し麺。具は豚バラ肉とたっぷりのキャベツ。青海苔と紅ショウガがトッピングされ、鉄板で焼かれた目玉焼きもサービスでトッピングしていただいた。味付けは市販のソースをブレンドしただけでなく特製のスープなども使っているそうだ。味に濃厚な深みがあってとても美味い。
自家製の御新香も付け合わせで出していただき恐縮してしまう。ぱっと見でペロリと食べられる気がしたのだが、思った以上にボリュームがあった。すっかり満腹だ。これを2杯食べる人も居るらしい。
私が店に滞在している間も、注文の電話や受け取りに来たお客さんの応対で店主母娘とも忙しそうだった。開業して30年余り。地元の味として愛されているのがこの短時間でも伝わってくる。「目指せ50年」と明るく言う女将さん。会うだけで元気になれる、とても居心地の良いお店だった。
店舗情報 | TEL:0288-77-2644 住所:栃木県日光市鬼怒川温泉大原1413-13 営業時間:10:00~17:00 定休日:日曜・月曜・火曜 |
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主なメニュー | 焼きそば 300円~700円 きっかぶ焼き 300円 |
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