清水屋本店
個性豊かな太田焼きそばの中で細麺派を代表するのが大島団地の裏手にある清水屋本店。焼きそば以外にたい焼きも人気で地元の持ち帰り客が多い。
訪問したのは2012年12月初旬の日曜日。午前10時半頃でもう開店してるはずが店先に「準備中」の札が置かれている。早過ぎたか……と少し離れて様子を伺っていると、後から来た客が店内に入ってゆく。あれ? もしかして?
「あのー、もうやってるんですか?」
「はい……あ、準備中の札出てますかっ!?」
「ええ、出てます」
「すみません、うっかり忘れてました、入って大丈夫ですよ!」
店主が外の札を「営業中」に裏返した。ほっとして入店。入ってすぐ左手に注文カウンターがあり、その奥にたい焼きの焼き台や鉄板が並んでいる。正面奥から左手が客席でテーブルが3卓、カウンターが5脚ほど置かれていた。先客は持ち帰り注文らしい。
メニューには焼きそば・たい焼きの他、たこ焼き・お好み焼き・シューマイなどがある。さすが小麦栽培の本場、小麦粉使いまくり。まるでコナモンの見本市だ。
「ご注文、お決まりになりましたらどうぞ」
「焼きそばの中盛り(300円)、店内で食べていきます」
「ノリと生姜は掛けちゃってもいいですか?」
「はい、お願いします」
「奥の席にお掛けになってお待ちください」
ストーブの近くのテーブルに腰掛けると若いお兄さんがお冷を持ってきてくれた。実はこの店に来るのはこれが2度目で、前回はこのお兄さんが女将さんにレクチャーを受けながら焼いていた。その折、2011年時点で訊いた話ではここへ移転して20年くらい、その前も含めるとトータルで46年だとか。飾らないながらも丁寧な接客といい、沢山置かれている漫画本といい、文字通り家庭的な雰囲気のお店だ。
しばらくして持ち帰りの焼きそばパックが出来上がり、私の注文した焼きそばも黄色く縁どられた可愛い皿に乗って運ばれてきた。
麺は特徴的な極細麺で、岩崎屋や峯岸大和屋の太麺とは好対照の品だ。具はキャベツのみで、青海苔がトッピングされ脇に紅生姜が添えられている。いかにも太田らしいシンプルな焼きそばである。麺はホギホギした食感でソースと油が滲みている。よく焼けた部分はポキポキした歯応えで香ばしい。
味付けはややあっさりめ。足利が誇る月星ソースを使っていて酸味が利いている。「ソース足りなかったら掛けてくださいね」と言われて、少し足すと、キャベツの甘味とマッチしてさらに美味しくなった。
両毛地域の焼きそば店の多くではこの月星ソースが愛用されていて、この店では数銘柄を独自にブレンドしているらしい。メーカーが明治28年創業というから100年の歴史を持つ手作りソース。老舗の陰に老舗あり、ということか。小麦の産地という条件に加えて丹精込めたこのソースの存在が、両毛一帯に焼きそば文化を開花、定着させたのだろう。
「ご馳走様でした、美味しかったです!」
「すみません、ありがとうございました!」
味・値段・接客、全て好印象。そりゃ地元で人気にもなるわな。次はたい焼きも食べなくちゃ。
店舗情報 | TEL:0276-26-1209 住所:群馬県太田市八幡町41-10 営業時間:10:00~19:00(売り切れ次第終了) 定休日:火曜日(不定連休あり) → ホームページ |
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主なメニュー | 焼きそば 小盛り 250円 中盛り 300円 大盛り 350円 特盛り 450円 肉入り 50円増し たい焼き 1個 130円 たこ焼き 1人前 450円(8個入り) お好み焼き 肉なし 450円 肉入り 500円 |
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