エビス新東記

2011年8月14日に開設した当ブログも、お蔭様で丸5年を過ぎ6年目に突入いたしました。なんだかんだ忙しくなってきた昨今ですが、今後もマイペースでいろいろな焼きそばを紹介していきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。

さて、マレーシア・シンガポール・インドネシアの焼きそば特集。1週目のマレーシアに続きまして、2週目はシンガポールです!


マレー半島の先端に位置する島、シンガポール。大きさは淡路島程度に過ぎないが、マラッカ海峡と南シナ海の経由地という地理的条件に、イギリスが統治し華僑やインド人など多様な文化が流入したという歴史的な経緯によって、東南アジアでも特異な都市として発展した。

マレーシア・シンガポール・インドネシアの位置関係

交易や経済的な重要性もさることながら、シンガポールは食文化も大変に興味深い。華僑が多いため中国系の料理が普及しているが独自色も強い。例えば福建麺(ホッケンミー)。先週、マレーシアのクアラルンプール式ホッケンミーペナン式ホッケンミーを紹介したが、シンガポール式はそれらとも全く異なる。

シンガポール式のホッケンミーを食べに訪れたのは、恵比寿にあるシンガポール料理店、エビス新東記(シントンキー)。開業は2005年。シンガポール政府観光局の認定店第一号だそうで、シンガポールの代表的な料理の数々を、現地の味そのままに提供しているという人気店だ。

恵比寿 シンガポール料理 エビス新東記

最初に訪れたのは5月下旬、平日のランチタイム。JR恵比寿駅の西口を出て、線路に南へ進む。坂を上り切ったビルの2階に目的の店はあった。しかし、ホッケンミーは平日ランチではやってないとのこと。仕方なくシンガポール式のチキンライス=海南鶏飯(ハイナンジーハン・950円)を食べることに。

海南鶏飯(ハイナンジーハン) ランチ 950円

シンガポールを代表する味として親しまれている海南鶏飯。この店でも一番人気のメニューで、こちらでは生姜・チリ・黒醤油の3つのソースをつけて食べる。生姜を効かせ控えめに味付けされた鶏肉。それと一緒に炊き込んだ固めのご飯が後を引く。仕方なくとか書いたが、喜んで平らげた。いや、美味いわこれ。

そして約一か月後の6月下旬。今度は土曜日のランチタイムに再訪した。一人なのでカウンターへ着席。7卓ほどあるテーブルは埋まっていた。前回聞いた通り、土日のランチメニューにはちゃんとホッケンミーが載っていた。値段は1580円で、レギュラーメニューと同じだ。なーんだ、なら平日の夜に来れば良かったなあ。ちなみにメニューには次のように書いてある。

エビス新東記 メニューの一部抜粋

シンガポールの人気No.1焼きそば

中国福建省から移民してきた人たちが考えた料理です。シンガポールの屋台が始まって50年たった今でもまだまだ人々に愛され大人気です。

米粉(ビーフン)と卵麺を混ぜて炒め、具は豚肉、えび、イカ、もやしまたはニラなど、濃厚な特製豚骨とエビの出汁に、肉のコク、海鮮のうまみと野菜の甘味が溶け出した人気の逸品。

ふーむ。この説明の基点を開店時の2005年と考えて50年前ということは、シンガポールの屋台料理としてホッケンミーが生まれたのは1955年ごろ、第二次大戦が終わって10年ほど経ってからのことなのか。印象よりもずいぶんと新しい食べ物だな。

福建麺(ホッケンミー) 1580円

注文から10分ほどでホッケンミーが運ばれてきた。メニュー写真よりもつゆだくな仕上がりだ。こんもりと盛り付けられた焼きそば。脇に串切りのライムとサンバル=辛味香辛料が添えてある。

黄色い玉子麺はモチっとした食感

麺はもちもちした太めの中華麺。前述のメニューに書かれた説明文で「卵麺」と紹介されていた麺だ。平打ち気味で具にもスープにもなじんでいる。それに混じって「米粉(ビーフン)」と書かれていた真っ白な中細のライスヌードルもある。

中細の米粉(ビーフン)は歯切れの良さが特徴的

プツンと切れる独特の食感で、最初は春雨かと思ってしまった。歯切れの良さが特徴的で面白い。日本でもそばとうどんを混ぜて提供する店はあるが、ごく一部に限られている。しかしシンガポールのホッケンミーは、こういう風に2種類の麺を混ぜて使うのが一般的らしい。

豚骨だけどなぜか南国っぽい味わい

具はエビ・イカ・豚肉・玉子・モヤシ・ニラ。前述のメニューによると、つゆだくスープは豚骨とエビの出汁とのこと。麺と具を炒めたところにスープを加え、さらに炒め煮しているらしい。油っぽくはないのに出汁は濃厚。そして風味がいかにも南国っぽい。うーん、独特だなあ。

ライムやサンバルでの味変も良し

皿の端に添えてあったサンバルは発酵エビのペーストや唐辛子で作られた調味料だ。それやライムを使って味を変えると、さらに南国っぽい味になる。ボリュームは単品だとちょっと物足りないかな。サイドメニューも何か頼んでちょうどいいくらい。というか、美味しいのでもっと食べたくなってしまう。

馬来風光美食で食べたクアラルンプール式の真っ黒なホッケンミーとも、ペナンレストランで食べたペナン式のエビがら出汁ラーメン的なホッケンミーとも、見た目からして全く異なるシンガポール式のホッケンミー=福建麺。スープで炒め煮にする点などは確かに福建燜麵を思わせるし、同じく福建がルーツの長崎ちゃんぽんや太麺皿うどんにも通じるところがあった。いやー、食べ比べてみると、ほんと面白いなー。

エビス新東記

店舗情報TEL: 03-3713-2255
住所: 東京都渋谷区恵比寿南1-18-12 竜王ビルⅡ 2F
営業時間: 11:30~14:30 17:30~23:00
(金曜は24:30まで、土日祝はランチが15時まで、夜は平日と同じ)
定休日:無休
ホームページ
主なメニュー福建麺(ホッケンミー) 1580円
チャークェイティアオ 1300円
香菇炒麺(シンガポールの焼きそば) 1200円
海鮮河粉(海鮮ホーフン) 1580円
ミーゴレン(マレー焼きそば) 1280円
えび春雨炒め 1080円
炒米粉(焼きビーフン) 980円