焼きそばバル 飯島屋

2017年10月1日

前回紹介した川越の焼きそば居酒屋どーもを訪れたその前日、同じ埼玉県は行田市にある焼きそばバル飯島屋という店へも足を延ばしてみた。2015年9月にオープンしたお店で、やはり自家製の生麺を売りにしているらしい。

行田と言えばフライやゼリーフライが名物だ。以前紹介した古沢商店もそうだが、フライや焼きそばを提供している駄菓子屋が今でも数多く残っている。そして焼きそばと言えば蒸し麺オンリー。そんな食文化の地で果たして生麺の焼きそばがどれだけ受け入れられているのか、興味津々である。

行田 焼きそばバル 飯島屋

訪れたのはGWの夕方5時過ぎ。ランチ営業もやっているが、バルなのでやはり夜が本番だろうからこの時間にした。店舗は秩父鉄道の行田市駅から300mほどの位置にある。JR高崎線の行田駅とは全く違う駅なので注意が必要だ。

入った眼の前に製麺機

店舗はアメリカのカフェを思わせるウッディな造り。扉をくぐった目の前に製麺機が置かれていた。客席はカウンター5席。テーブルが4卓。外にテラス席もある。これからの季節、テラス席で風に当たりながらのむビールも良さそうだ。

ちょっと大き目中ジョッキ 590円

髭がダンディな店主が一人で切り盛りしていて、先客は女性一人。鉄板に面したカウンターに着席して、とりあえずビールの中ジョッキ(590円)を注文。ジョッキが予想よりもでかいと思ったら700mlとのこと。メニューにも「ちょっと大き目中ジョッキ」と書かれていた。嬉しい誤算。ホクホク。

焼きそばバル 飯島屋 焼きそばメニュー

さて、メニュー。品ぞろえを見てピンと来る方もいるだろうが、こちらの店主も前回紹介した焼きそば居酒屋どーもと同じくあの焼きそば専門店・まるしょうの出身で、越谷花田店で店長をされてたとのこと。さらにその前は蓮田(春日部?)の長田本庄軒にもいたそうだ。どちらも自家製生麺を使う焼きそば専門店。いやあ、そんな方だとは知らずに来てびっくりした。

調理は全て鉄板で行うのがこちらのスタイル

まず注文したのは定番のソース焼きそば、並サイズ(490円)。全粒粉の麺を茹で上げて水で締めるというルーチンはまるしょうそのまま。炒める際は長田本庄軒方式で、鉄板に広げた麺にソースで味付けしたあと、コテでぐるぐる回転させていた。また、まるしょうは鉄板で麺に焼き目を付けたあとフライパンで調理するが、こちらでは仕上げまで鉄板だけで調理する。その辺の違いも味わいの差に関わってくるんだろうなあ。

ソース焼きそば(並) 490円

「お待たせしました」とステンレスの皿が目の前に置かれた。麺は中太の自家製生麺。茹で加減はやや固めだがモチっとした食感は期待通り。具は豚肉とキャベツ、揚げ玉とシンプルだ。青海苔をトッピングして、脇に紅生姜を添えてある。味付けは自家製ブレンドソースを使用。炒めるときの回転で酸味を飛ばしているため、やや甘めのマイルドな味わいだ。

自家製麺は期待通りの美味しさ

豚肉を除けば構成要素は行田の伝統的なソース焼きそばとほぼ同じ。しかし食味はまるで別物だ。まるしょうと長田本庄軒のハイブリッドという逸品が、この地で食べられるなんて、いやはや実に面白い。

ビールを空けてお代りに注文したのはジムビームハイ。そのうち地元の常連さんが団体でやってきた。こういう焼きそばが行田で受け入れられるかちょっと心配だったが、がっちりこちらの焼きそばのファンもいて頼もしい。

さて。こちらは焼きそば以外のおつまみも充実しているが、せっかくなのでもう一つ焼きそばを食べたいなと思いメニューを物色。この店でも季節限定メニューをやっていて、2品黒板に書かれていたが、常連さんが頼んでいた梅大葉焼きそばというのが気になった。

「私も梅大葉焼きそば、お願いできます?」
「実は大葉を切らしていて、今日は代わりにバジルを使います。それで良ければ」
「いいですいいです、それください」

梅大葉焼きそば 490円

麺は同じ自家製生麺。こちらの茹で加減はドンピシャ好みのモチモチ感。具は梅、鶏もも肉、キャベツ、揚げ玉を使っていた。味付けは梅を一つ潰したところに特製の塩ダレかな。バジルと粉チーズを掛け、トッピングに梅干が一粒丸ごと乗せてある。爽やかな酸味で、チーズの風味もほどよく利いてジェノベーゼ風、イタリアン寄りの一皿だ。これもまた美味しいなー。大葉を使った本来の味付けも食べてみたくなった。

爽やかな酸味と粉チーズが合います

翌日に訪れた川越の焼きそば居酒屋どーももそうだが、柏市豊四季に本店のある焼きそば専門店・まるしょうが、北関東の焼きそば文化に新たな影響を与えているのを目の当たりにできた2店舗だった。昨年2月に東京で出店したまるしょう本郷三丁目店ばかりが注目されがちだが、それ以前から当地では存在感の大きな焼きそば店だったのをひしひしと感じる。また、こういうスタイルの業態が派生しつつあるのも実に面白い。

忍城跡 水城公園

お会計は2440円。秩父鉄道から熊谷を経て東京の自宅へと戻った。飲んだ後に東京都心まで電車で帰るのが可能な距離なのは嬉しい。近くには映画『のぼうの城』の舞台になった忍城の史跡・水城公園もあるし、気軽な日帰り旅行として訪れるのもオススメですよ。

焼きそばバル飯島屋

店舗情報TEL: 048-501-2351
住所: 埼玉県行田市行田20-23
営業時間: 11:00~15:00 17:00~22:00
定休日: 月曜
ホームページ
主なメニューソース焼きそば 並 490円~
梅大葉焼きそば 並 590円~