幡が谷のらんぽう
京王新線、幡ヶ谷駅に「幡が谷のらんぽう」という居酒屋がある。駅名は「幡ヶ谷」だが、屋号は「幡が谷」。数年前から行きたいと思っていたのだが、今年6月に入居しているビルの取り壊しで一旦休業してしまった。
同駅北側の入り組んだ飲み屋街に新店舗を確保し、移転再開したのは9月のこと。12月下旬、満を持して新店舗を訪問してみた。一見すると、一般家屋と間違えそうな造りだが、引き戸の陰から店長さんの写真が笑顔で出迎えてくれる。
客席は厨房を囲むL字カウンターのみ。10人も入ればいっぱいになる。先客に少し詰めていただいて、厨房正面の中央あたりに二人で腰掛けた。
まずはエビス生ビール(600円)と、生ピングレサワー(700円)で乾杯。
前菜4種が載った全部盛りと、「名物」と謳われているネギトロ&ガーリックトーストを注文した。
前菜全部盛り(600円)は、ちょっとずつ色々味わえるお得な一皿だ。右から「酒盗とクリームチーズ」「自家製ぬか漬け」「ミミガーと豆もやしのナムル」「ポテトサラダ」。ポテトサラダには削ったチーズがトッピングされている。どの品も印象的なおいしさだ。ハズレがない。
「名物・ネギトロをガーリックトーストで(780円)」は、文字通りの品。隣のお客さんと店主さんの会話によると、ネギトロには2種類のワサビドレッシングを使っているらしい。なるほど、軽く鼻を刺すツンとした風味は、山わさびのものか。ガーリックトーストに合う。
ビールがすぐになくなって、生レモンサワー(600円)へ。甘くない、自分好みのサワーだ。
入店時に勧められたブリのあら煮は、ちょうどあらが無くなったので、切り身を煮付けてくれた。これは日本酒だな、と新潟の地酒・今代司(800円)に切り替える。
続いてとり皮せんべい(1枚200円)。2枚お願いしたら、小さめなので1枚分の値段で良いそうだ。ありがたや。
一度揚げた上げたのをもう一度その場で揚げ直した熱々なやつ。パリパリとしたクリスピーな歯応えで酒が進む。
さらにカキフライ(2ヶ690円)と揚げ物が続く。生ガキ用の大粒のやつが2つ。サクサクの衣にカキの旨味がジュワッと滲みる。タルタルソースには鰹節か、鰯の削り粉が加えてあるのかな。これだけでも飲めそうだ。
ドリンクは、キンカンを使ったフルーツビネガーの焼酎ソーダ割り(600円)へ変更。料理のジャンルが多岐にわたるので、酒を選ぶのも忙しい。
そして締めに注文したのはネギやきそば(450円)だ。伊集院光がラジオで紹介していたそうで、この日の客もみんな締めに注文していた。
焼きそばの注文が入ると中華鍋をコンロに置き、カンカンに熱する。そこへ輪切りにした唐辛子と油を投入。蒸し麺を解しながら焼き、ソースでざっと味付けする。混ぜ炒めで皿に上げ、白髪ネギをたっぷり載せて出来上がり。
「よーく混ぜてから食べてください。ネギがしんなりするくらいが美味しいです」
具は白髪ネギだけの、超シンプルな焼きそばだ。よーく混ぜると、ネギが少ししなってきた。ネギの風味に、ソースの酸味と唐辛子の辛さが効いている。上海料理の葱油拌面に通じる、癖になる味わいだ。ネギ繋がりで両国・ペーパームーンのハワイアン焼きそばも思い出す。呑み屋さんの焼きそばは、こんな風にシンプルだけど病みつきになる品が多くて面白い。
お会計をお願いすると、最後にサービスでお吸い物を出してくれた。さらに「頂き物ですけど良かったら」と、リンゴまでいただいてしまった。料理は店主のセンスの良さを感じる品ばかりだし、ホスピタリティにも溢れているし、実に良い店だった。またぜひ再訪したいと思う。ちなみに2人で7,450円。
ちなみに、こちらのすぐ近くには、「鈴なり」というやきとん屋がある。ここは野方の名店、秋元屋本店で店長を任されていたシュンくんが独立した店だ。今回はハシゴしなかったが、そちらもオススメしておきたい。
店舗情報 | 住所: 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目12-17 清水荘1-D 定休日: 月曜 → ホームページ |
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主なメニュー | ネギやきそば 450円 |
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コメント一覧
以前、別府の「玉八」さんの記事にコメントさせて頂いたsouthallと申します。
SaltyDogさんが千歳烏山に引っ越されたと知り、居住者として腰を抜かすほど驚きました。
焼きそばを何よりも愛する身としては、レジェンドと同町居住であること本当に光栄に思います。
ちなみに幡ヶ谷は我が生まれ故郷です(笑)