まつやホルモン店
鳥取ではホルモンと中華麺を炒めた焼きそば、通称「ホルそば」が何十年も前から食べられてきた。昭和30年代からホルそばを提供している老舗も市内にはいくつかある。まつやホルモン店はその代表的な店だ。
創業50余年のまつやホルモン店は鳥取市街の東の外れにある庶民的な飲み屋だ。金曜の夜19時に訪れると、店内の笑い声が外まで聞こえてきた。時代を感じさせる看板など外観は少し入り辛い雰囲気だが中は活気に満ちている。客席はカウンター10脚ほどと小上がり2卓があるが、どちらもほぼ満杯だ。カウンターのおでん台の前が1つ空いていたのでそこへ腰かけた。お店は典型的な家族経営で店員も常連も和気藹々としている。
目的はもちろんホルモン焼きそばだが、まずは生ビールとおでんを注文。大根や練り物を肴にジョッキを傾けつつ、改めて店内を眺める。壁のメニューによると、この店では「ホルモンそば」という品名のようだ。ライスが「めし170円」と書かれている辺りに「漢の店!」という印象を受ける。おでんやホルモンそばの他には、ホルモン、カルビ、ミノなどの肉類しか酒肴がない点も潔い。
カウンターの内側が焼き台になっていて、何枚かある鉄板でホルモン類と野菜を炒めている。東京ではあまり見かけないがこのスタイルがこっちでは一般的なホルモン焼きなのだろう。ホルモン以外にもセンマイやカルビ、レバーなども同様に調理されている。合わせる野菜もキャベツだったり、部位によって使い分けられているようだ。
ビールをお代わりしたついでにお待ちかねのホルモンそば600円を注文すると、眼の前の鉄板で早速調理が始まった。
牛ホルモンと青ネギを鉄板で炒め、もやしを投入。さらに麺を加えて、しばらく蒸し焼きにする。頃合を見て味噌だれをダーっと掛け、仕上げにもう一度炒めて出来上がり。小上がりの席だと皿に盛られて出されるが、カウンターの客は鉄板から直接食べる。辛めのニンニク味噌だれの入った容器を渡され、好みでそれに浸けるよう言われた。
麺は太い蒸し麺でモッチリしてる。ホルモンは厚みがあり脂質も歯応えも十分だ。噛むほどに旨味が出る。もやしは頭も髭根も取り除かれていた。そのままでも濃厚な味付けだが、渡された味噌だれはさらにパンチが効いていた。悪く言えば野卑だが、飲兵衛には堪らない味わいである。隣の常連さんは御飯も食べていた。なるほどオカズとしても十分いける味だ。
東京からバイクで来たと告げたのをきっかけに、店主や定連さんと楽しく話した。鳥取砂丘の横にある無料の柳茶屋キャンプ場に泊まるライダーが食べに来ることも多いらしい。鳥取は市街地に温泉があるが入浴も兼ねてここまで来るのも良さそうだ。実際、この日の私も元湯温泉という銭湯で一風呂浴びてから徒歩で店までやってきた。
金曜の夜だけあって空席が出来てもすぐ埋まる。次々とお客さんが入店してくるため、席をつめるよう求められることも多い。一杯で入れない客もいる。そしてテイクアウトのお客さんも引っ切り無しにやってきた。あまりのんびりしているのも店に申し訳ないので、ホルモンそばを食べ終わってお勘定。この日の飲み代は1920円だった。
店舗情報 | TEL:0857-23-3050 住所:鳥取県鳥取市吉方温泉4-432 営業時間:11:30~13:30, 17:00~22:00 定休日:日曜、祝日 → ホームページ |
---|---|
主なメニュー | ホルモン 480円 ホルモンそば 600円 タレそば 500円 やきそば 500円 めし 170円 おでん各100円 生ビール 530円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません