福新楼
博多皿うどん発祥の店・福新楼は明治37年創業の老舗中華料理店である。天神の街を地図を頼りに探すと豪華なビルに辿り着いた。外観からして品の良さそうな高級感が漂う。こういう店はどうも気後れしてしまう。
エレベーターで2Fへ昇ると、チャイナドレス姿のウェイトレスさんたちが「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。広いフロアに配置されたテーブル席のひとつに案内される。平日のランチタイムで入店時はまだ割と空いてたが、すぐに混雑してきた。
注文するつもりだったのは博多皿うどん(福建炒麺)なのだが、メニューを見ると古式皿うどん(古法炒麺)や海鮮皿うどん(海鮮炒麺)などもある。四海楼での注文ミスの二の舞にならぬようウェイトレスさんに違いを尋ねたところ、「博多~は醤油ベース」「古式~も同様だが野菜主体でシンプルなもの」「海鮮~は魚介類をふんだんに使ったもの」との答えが返ってきた。結局は初志貫徹で博多皿うどん1100円をオーダー。
待つ間におしぼり、温かい烏龍茶、ザーサイが出された。テーブル上には赤だれ、黒だれと名付けられた独自の調味料の他、ラー油や酢、胡椒などが置かれている。ランチ目当ての客で席があらかた埋まった頃、注文した品が配膳された。
ぱっと見で極細揚げ麺の長崎皿うどんとは全く違うことが分かる。また太麺皿うどんと比べても汁っ気はほとんど無い点や色あいが異なる。とりあえずと一口食べて「うーん」と唸った。これは美味い!
麺はやや太めで断面が平たい四角。固くは無いが腰があり、モチモチした食感で味がよーく染みている。現社長のインタビューによるとちゃんぽん麺を一度揚げたものらしい。(以下、こちらの記事より引用)
当時、中国から長崎へ食材を運ぶ際、チャンポンのふわふわもちもちとした麺では水分が多いためどうしてもカビが生えてしまった。これをどうにかしたいとい う想いがあり、チャンポン麺を油で揚げたことで腐敗を防ぎ麺を熟成させることを考案し、完成させた。それが成功へと繋がったのである。
味付けは醤油ベースと説明されたが、しいたけや魚介だろうか、コクのある旨味に満ちている。具は8mmほどの幅で刻まれたキャベツの他、モヤシ、人参、干ししいたけ、青ネギ、豚肉、エビ、小さなイカの頭(※)と足。全体的に野菜がたっぷり使われていてヘルシーな印象を受けた。(※イカなど頭足類の頭は眼の付いてる辺りを指します、為念)
予備知識通り、博多皿うどんは見た目も味の志向性もソース焼きそば的な料理だった。「炒飯」が焼き飯なら「炒麺」は焼きそばなので当然と言えば当然なのだが、それを「皿うどん」という名前で出した辺りが面白い。福新楼は長崎の四海楼よりは5年だけ新しい店なのだが、その辺りの経緯にも興味が沸く。
これまで見てきたように「皿うどん」には色々な種類がある。全国的に有名な、極細揚げ麺にとろみの付いたあんをかけた皿うどん。そのルーツでもある、ちゃんぽんのバリエーションとして作られた柔らかい太麺の皿うどん。そして醤油ベースの焼きそば的な博多皿うどん。さらにちゃんぽん麺にトロみ餡を掛けたものもあれば、リンガーハットのように「太麺皿うどん」を太い揚げ麺で出す店もある。
別々の料理が同じ名前で呼ばれ、どこかに共通点らしきものも無いではない。なかなか興味深い現象である。そういえば「ちゃんぽん」も地域によって指す料理が異なる。どれが正しいなんて結論もないし、結局は美味しければそれでいいのだが、それら同名異義の料理を食べ比べてみるのも面白いものだ。
店舗情報 | TEL:092-771-3141 住所:福岡県福岡市中央区天神2-3-33 2・3・4F 営業時間:11:30~22:00 定休日:年末年始 → ホームページ |
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主なメニュー | 特製博多皿うどん(福建炒麺) 1,100円 特製古式博多皿うどん(古法炒麺) 1,100円 特製博多海鮮皿うどん(海鮮炒麺) 1,800円 チャンポン 1,100円 海鮮チャンポン 1,800円 |
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