ハリ・ラサイ
スリランカや南インドのストリートフードに、「イディアッパム・コトゥ(Idyappam Kottu)」と呼ばれる焼ビーフンがある。「イディヤッパム(イディアッパム/Idyappam)」は東銀座のダルマサーガラで食べたものと同じく、極細のライスヌードル＝ビーフンを指す。ただし、イディアッパム・コトゥの調理法はあれとは全く異なり、コトゥ＝「刻む」手順を経てスパイシーに炒めたものだ。
前回紹介したセイロン・インで「スリランカ・ビーフン」という名前で提供されていた品も、恐らくこのイディアッパム・コトゥと同じものと思われる。セイロン・インの英語表記「String Hopper Biryani」から推測するに、長粒米の代わりに細く短い麺を使ったビリヤニという捉え方かも知れない。スペイン料理の「パエリア(paella)」と、米の代わりに極細パスタを使った「フィデウア(Fideua)」の関係に似ていて興味深い。
さて、そのイディアッパム・コトゥを食べに訪れたのは横浜の綱島にあるハリ・ラサイというお店。スリランカ語で「美味しい」という意味らしい。
3月中旬、土曜日の11時過ぎに訪問。最寄り駅は東急東横線の綱島駅。北西の駅前通り、コンビニの手前の2階に目当ての店舗があった。以前入っていた「ザラ(ZARA)」という屋号の看板がそのまま残っている。知っていれば目印になるが、知らなければ「あれ？」となるので要注意。
店内は明るく清潔な雰囲気。客席はテーブル6卓ほどで、キャパは20人程度だろうか。早い時間帯なので自分が口開けだった。窓際のテーブルに着席。テーブルにはランチメニューが置かれていた。コスパがよくて魅力的だが、今日の目的はほかにある。店員さんにレギュラーメニューをお願いして目当ての品を見つけた。
「イディアッパム・コトゥ(1030円)をください」
「イディアッパム・コトゥはチキンとマトンがありますが？」
「マトンでお願いします、あと……スリランカン・プラウン・カレー(1190円)も」
「辛さはどうしましょう？」
「スリランカの人が普通に食べているくらいの辛さで」
「カレーにご飯かナンはつけなくていいですか？」
「うーん……イディアッパム・コトゥのボリュームが多そうだからいいです」
お店からのサービスということでランチ用のサラダを出していただいた。嬉しいなあ。ヒヨコ豆が美味しい。厨房ではガチャガチャ、リズミカルで賑やかな音が聞こえてきた。コトゥ＝「刻む」作業の音だろう。注文から20分近く掛かってイディアッパム・コトゥが運ばれてきた。ランチメニューではないから時間が掛かるのは仕方あるまい。
麺は細かく刻んだビーフン。具はマトン、玉子、人参、長ネギ。お皿が大きいので分かりにくいかも知れないが、量は結構多い。大衆中華屋で大盛りチャーハンを頼んだくらいのボリューム感だ。
現地仕様でお願いしたため味付けはかなり辛いが、スパイシーでめちゃうま。ところどころ玉になってるけど、基本的にふんわりした仕上がりで、麺を啜るというよりはモサモサとむさぼる感じ。その食感も面白い。ちなみにスリランカでは男性はマトン、女性はチキンを好む人が多いらしい。
同時に運ばれて来たスリランカン・プラウン・カレーは海老とココナッツミルク、そのほか諸々のスパイスを使ったカレーだ。こちらも現地仕様で辛いが美味い。ココナッツとシーフードというスリランカならではの味わいが嬉しい。ご飯が欲しくなったが食べ切れる気がしないので、やはりやめといた。
せっかくなのでカレーをイディヤッパム・コトゥに乗せて食べたが両方の辛さが喧嘩してる。やはりカレーにはご飯が合いそうだ。カレー細胞さんのこの記事の助言に素直に従って、欲張らずにイディヤッパム・コトゥ単品にしておけばよかったなあ。
途中で店員さんが気を利かせてマンゴージュースをサービスで出してくれた。助かる。「インド・スリランカ・パキスタンの人間はカレー単独で食べることはまずない、ご飯やナンと合わせると味が変わる、サービスで軽めのご飯を出そうかと思った」とのこと。ですよねー。
食べ終えて会計は2220円。接客よし、味よし。貴重な料理とホスピタリティが好印象の店だった。ちなみにお酒は置いていないが、持ち込みはOKだそうだ。近くに来ることがあればまた寄りたいなあ。
| 店舗情報 | TEL:045-545-9887 住所:神奈川県横浜市港北区綱島西1-6-17 2F 営業時間:11:30～15:00 17:30～22:30 定休日:月曜日 |
|---|---|
| 主なメニュー | イディアッパム コットゥ 1030円 コットゥ ロティ 1030円 スリランカン プラウン カレー 1190円 |
