かまぎん
栃木県の那須烏山市に、「かまぎん」という焼きそば専門店がある。もともと元祖の「釜銀」という焼きそば屋があり、そこが閉店する際に働いていた方が暖簾分けという形で味を引き継ぎ、1978年にオープンしたそうだ。元祖から数えると70年にも及ぶ歴史ある焼きそばで、地元では「ゴムそば」の呼び名で長年親しまれている。
私にとっては積年の宿題店だったのだが、つい昨日ようやく訪問できた。自宅最寄りの京王線・千歳烏山駅から、新宿・大宮・宇都宮を経て、JR烏山駅へ。烏山から烏山へと3時間半掛けて移動した。
かまぎんは、那須烏山市役所烏山庁舎の裏手にある。JR烏山駅からは徒歩で15分ほどの距離だ。店に到着したのは12時ちょうどくらい。店の前が駐車スペースになっており、持ち帰りのお客さんが来ていた。
店内は割と広く、客席はテーブル3卓と小上がり2卓が用意されている。厨房では年配の女性が調理をしている。ホール担当は息子さんか。
メニューは焼きそばとそのセットのみ。つい先日、朝日新聞に掲載された記事によると、市役所職員にはご飯と味噌汁のセットが人気らしい。
スペシャルの大(650円)を注文すると、5分ほどで提供された。麺はストレートの細角麺。麺と一緒に短冊切りのキャベツが炒められている。豚バラ肉とイカ、目玉焼き、さらに青海苔と紅生姜がトッピングされている。
麺は乾麺を二度蒸ししているそうで、エッジが立っている。箸ではなくフォークを使うのもこの店の特徴のひとつ。二度蒸し独特の歯ごたえある麺で、噛むほどに味わい深さを感じる。ゴムそばの異名にふさわしい。
味付けはユニオンソースの特製ソースだとか。割と薄めで、さっぱりした味付けだ。下野新聞社『ソース香る懐かしの味 栃木の焼きそば』によると、肉やイカはそれぞれ別々に味付けされているらしい。個人的にはイカの味付けが独特で気に入った。目玉焼きの黄身の半熟加減も自分の好みだ。
ゴムそばと呼ばれる焼きそばは、京都の福知山が有名だ。彼の地では茶色い蒸し麺を使っている。また、静岡県三島市で営業していた一福黄金饅頭も、茶色く歯ごたえある角細麺でゴムそばと呼ばれていた。乾麺の二度蒸しは筑西市下館の中山屋を、フォークで食べる点は沼津市の火の車を彷彿とさせる。距離を隔てた焼きそばなのに、いろいろ共通点があるのが面白い。
濃い味が好みなら卓上のソースを後がけしてみよう。スパイシーな酸味が楽しめるはずだ。大ではボリュームが多すぎないかと心配だったが、期待以上の美味しさで、ぺろりと平らげてしまった。男性なら少し足りないくらいだろうから、ご飯と味噌汁が欲しくなるのもわかる。念願かなって感無量のまま、店をあとにした。
食後は八雲神社に烏山城跡、山あげ会館などを見て回った。ざっと観光するにはちょうどよいサイズ感の市街地だ。山あげ祭の映像では、烏山市民の地元愛をひしひしと感じることができた。昨年は新型コロナのため無観客開催だったそうだが、例年は7月第4週の週末に開催されるらしい。いつか、そのタイミングで再訪できたら良いなあ。
店舗情報 | 住所: 栃木県那須烏山市中央1-4-4 営業時間: 10:30~18:30 定休日: 月曜日 |
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主なメニュー | 焼そば 350円~ |
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