米州
先日、埼玉県八潮市にあるパキスタン料理店・カラチの空を紹介したが、その日ついでにもう一軒寄った店がある。それが今回紹介する「米州」。牛タンと洋食が売りらしいのだが、「潮スープ焼きそば」なる名物があるらしい。どんな品なのか予備知識のないまま訪問してみた。
米州を訪れたのは3月下旬の昼下がり。草加市との市境に近い県道沿いに店舗があった。それにしてもなぜ米州? そして潮スープ焼きそば? 屋号と料理名に疑問符を抱きつつ入店。
「いらっしゃいませ」
厨房の店主とホール担当の奥さんが出迎え。店内は意外にも純和風な民芸調の居酒屋的な造りだ。入ったスペースには自在鉤のある大きなテーブルが設えられている。奥には厨房に面したカウンター席が、左手には座敷席もあり。ランチタイムのピークをとうに過ぎた中途半端な時間帯だったため客は自分ひとりである。
さてメニュー。目的の潮スープ焼きそばは通常価格が800円、ランチだと少し安くて700円。牛たん丼や牛すじカレーとのハーフセットもある。それらに心惹かれつつも連食なので単品で注文した。
そのメニューの1ページ目に屋号と経歴について記されていた。「九州生まれの米国育ち」で「米州」なのか、なるほど。フレンチを学んだあとにアメリカで鉄板焼や寿司を修業。かなり変わった経歴で興味深い。
注文した品は5分あまりで運ばれてきた。スープに浸った具と麺。メニューの写真以上につゆだくである。自分はスープ入りの焼きそばを散々食べてきたので慣れているが、初めての人は衝撃だろうなあ。
麺はインスタントチックな中細の縮れ麺を使用。アメリカのChowMeinを意識して選んでいるのかな。具は八潮の特産品である小松菜を始め、プリプリのエビに薩摩揚げ、キャベツ・人参・ブロッコリなど、個性的で豪華な顔ぶれだ。さらに半分に切った半熟玉子がトッピングされている。
そして特筆したいのがこのスープ。ただの塩味どころか、とても深いコクがある。あとで店主に尋ねたところ、牛タンを使ったスープで、八潮市にちなんで「塩」ではなく「潮」という字を使っているとのこと。店主が九州出身だからか、具やスープの使い方にはチャンポンぽさも感じる。
ウスターソース系の風味は全く無し。正直、日本で一般的なソース焼きそばの要素はゼロだが、店が焼きそばと言っているので焼きそばなのだ。そして文句なく美味しい。リッチなスープにチープな麺でアンバランスなはずなんだけど、これが不思議にマッチしている。飲んだ締めに食べたら最高だろうなあ。
ところで食事中、壁に貼られていた写真を見て我が眼を疑った。若き店主と一緒に写っているのは、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーやヴァンヘイレンのサミー・ヘイガーなど、そうそうたるロックスターではないか! 店主によるとアメリカで修業していた寿司屋で撮ったものらしい。
「彼らに出した寿司を『ロックンロール』という名前で夜に出しているんですよ」
うわー、そりゃ食べたい。遠いけど今度は夜に来て食べてみたいなあ。牛タンとロックンロール、そして潮スープ焼きそばで締め。よし、いつかやろう。
店舗情報 | TEL: 048-997-3953 住所: 埼玉県八潮市八條1616-5 営業時間: 11:30~14:00 17:00~22:00 定休日: 月曜夜 月曜祝日(予約により営業可能) → ホームページ |
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主なメニュー | 潮スープ焼きそば 800円 牛タンシチュー&ハンバーグ 1500円 牛すじカレー 800円 ランチタイム 潮スープ焼きそば 700円 ハーフセット(潮スープ焼きそば&牛たん丼/牛すじカレー) 900円 |
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