くらた

2019年1月19日

焼きそば好きとしては皿うどんだけでなく長崎のソース焼きそばも気になる。一体、どんなソース焼きそばが食べられているのだろう? 長崎で古くからやってそうな地元密着型のお好み焼き店を探し、見つけたのが銭座(ぜんざ)町にある「くらた」だ。場所は長崎電鉄の銭座町停車場から徒歩5分くらい。平日の朝10時半に訪問してみた。

長崎市 お好み焼・やきそば くらた

店は年配のおばちゃんが一人で切り盛りしている。鉄板を囲むようにコの字に椅子が並べてあり、反対の壁際にはテーブルも一卓。鉄板では男性の先客1人がお好み焼きを食べていた。営業時間が9時からとはいえ、この時間から客がいることにちょっと驚いた。だいたい午前中は電話での持ち帰り注文に対応するのが、こういう店の常なのだが。

おばちゃんに向かい合うように鉄板の正面に着席。おばちゃんとその常連さんの話によると、お店を始めてからもう50年くらい。最近は海外の観光客も訪れるという。

お好み焼・やきそば くらた メニュー

メニューはお好み焼きと焼きそばのみ。いずれも安い。両方を食べてみたかったので、お好み焼きの中(380円)と焼きそばの中(380円)を注文した。

お好み焼きの方が焼き上がるまでに時間が掛かるため、あらかじめセッティングして焼きそばに取り掛かる。鉄板に豚肉を広げてたっぷりのラードを乗せる。モヤシ、ザク切りキャベツ、魚粉、旨味調味料、はんぺん、天カスと重ねていく。

「ラードで焼くけん、うもなるたい」

お好み焼の準備をしてから焼きそば調理開始

野菜にある程度火が通ったところで、水でほぐしたちゃんぽん麺をどさっと投入。両手にコテを持ち、混ぜ炒め。金蝶ソースのボトルを手に取り、ツーっと回しがけ。さらに混ぜ炒めて出来上がり。

「昔からずっと金蝶ソースばい」

焼きそば(中) 380円

モチモチのちゃんぽん麺と金蝶ソースという、長崎を体現したような焼きそばだ。あご天や天かすが味わいと食感に良い塩梅の風味を加えてくれている。ラードのコクがキャベツにも滲みてて、一口一口が楽しい。鉄板に接している部分が少し揚げ気味になのがアクセントになっている。

モチモチのちゃんぽん麺と金蝶ソース

金蝶ソース、皿うどんだけじゃなくて焼きそばに使ってもこんなに美味しいとは意外だった。ちゃんぽん麺も焼きそばに合うなー。

一方のお好み焼きは乗せ焼きスタイル。これが長崎流らしい。生地を薄く引いて、魚粉、調味料。天カス、紅生姜、はんぺん、モヤシ、キャベツと重ねていく。同じキャベツでも焼きそばはザク切りだったが、お好み焼きは短冊で切り方を変えている。

お好み焼きは乗せ焼き

真ん中をほって生卵を割り入れ、生地を掛けて放置する。その間に件の焼きそばを焼き上げ、頃合いを見てひっくり返す。両面が焼き上がったら折りたたんで出来上がり。

お好み焼き(中) 380円

自分でソースを塗り、魚粉を適量まぶす。コテで切り分け、ハフハフと頬張る。美味い。ラードで炒める焼きそばと違って、お好み焼きはさっぱりした味わいだ。卵が半熟なのも嬉しい。お好み焼きも焼きそばも味わい深いなあ。

長崎流のお好み焼き

大阪や広島のお好み焼きが流入して、こうした長崎本来のお好み焼きも今は減っているらしい。それらの店では焼きそばにちゃんぽん麺を使うこともないだろう。ちゃんぽんや卓袱だけでなく、これも貴重な長崎ならではの食文化。今後も末永く繁盛してほしい。

店舗情報TEL:095-844-7728
住所:長崎県長崎市銭座町5-12
営業時間: 9:00~17:30
定休日: 第3月曜日
主なメニュー焼きそば
 中(麺1つ) 380円
 大(麺2つ) 450円

お好み焼き
 イカ入り、肉入り、モダン 530円
 大(卵2コ) 430円
 中(卵1コ) 380円
 小(卵なし) 330円