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大勝軒(小岩)

当ブログで過去にいくつか人形町系大勝軒を取り上げてきた。茅場町日本橋横山町日本橋本町浅草橋。総本店の元料理長が経営する日本橋よし町という店もあった。メシコレというサイトでこんな記事を書いたこともある。

しかしそれらの店のうち日本橋横山町、日本橋本町、日本橋よし町は閉店してしまった。また茅場町は経営者が変わって料理の内容が完全に変わってしまった。人形町系大勝軒は、浅草橋が唯一の現存店……そう思っていたが、フリーライターの荒井禎雄さんから、他にもあるとの指摘を受けた。それが今回紹介する小岩の大勝軒だ。

中華料理 大勝軒 小岩

場所はJR小岩駅と京成小岩駅の間にあり、どちらの駅からも距離がある。初めて訪れたのは昨年12月の下旬、土曜日のお昼時だ。店舗は都道501号=柴又街道に面している。店頭の食品サンプルが、いかにも大衆中華らしい。

大勝軒 小岩 店頭の食品サンプル

客席は4人掛けテーブルが2卓と、厨房をL字に囲むカウンターが6席。先客ひとり、あとからもう一人やってきた。メニューはぱっと見で定番ぽく見えるが、麻婆豆腐や回鍋肉、エビチリや担々麺などの四川系がない。

大勝軒 小岩 メニュー

注文したのは五目焼きそば(950円)と餃子(450円)、それからビール(550円)だ。ビールはキリンラガーの中瓶だ。冬の乾いた空気でカサついた喉が、キリッと冷えたラガービールで潤されていく。

餃子 450円

やがて餃子も運ばれてきた。キツネ色に焼き上がった皮に歯を立てると、サクッと軽い音が響く。もっちりした食感で野菜主体の餡が美味い。人形町系なのに焼売がないのは残念だ。

五目焼きそば 950円

焼きそばは麺をあらかじめ蒸してあるのだろう。それを軽く湯通ししてから焼いていた。餡はあっさりした味わいの銀餡だ。五目なので具は豪華。豚肉・エビ・肉厚の冬菇に白菜、玉ねぎ、人参、小松菜などの野菜が使われている。

毎日でも食べ飽きない美味しさ

餡を絡めて麺を頬張る。ホギっした歯応えの中細麺に、甘すぎず塩っぱ過ぎず、ちょうど良い塩梅の餡が馴染んでて、めっちゃウメーン! 冬菇は食べごたえがあり、エビも良いアクセントだ。強烈なインパクトはないが、毎日でも食べ飽きない味への志向を感じる。

ニラレバ炒め 650円

他の品も食べてみたくなり、年が明けた1月上旬にも再訪してしまった。まずはニラレバ炒め(650円)と瓶ビール。たっぷりのレバーにたっぷりのニラとモヤシ。ちょうどよい味加減で、ビールが進んだ。

チャーシューワンタンメン 950円

それからチャーシューワンタンメン(950円)。スープの味わいは期待通りのあっさりした醬油味。これだよこれ、という味わいだ。チャーシューもたっぷり乗っていて嬉しい。

レンゲで掬ってチュルンと啜る

そしてワンタン。この店のメニューには、ラーメンのすぐ下にワンタンがある。ワンタンを単品で食べられる店は、いまやなかなか貴重な存在だ。レンゲで掬ってチュルンと啜ることで得られる快楽は、他で代えがたいものがある。

貴重な人形町系大勝軒のひとつ

二度の訪問で店主さんに来歴をうかがったところ、実は浅草橋の大勝軒とご兄弟だそうだ。この店は平成になってからの開業だが、それでももう二十年は軽く超えている。昭和は遠くなりにけり。ちなみに焼きそばは、かた焼きそばもできるそうだ。貴重な人形町系大勝軒のひとつとして、末永く繁盛してほしいなあ。

なお、人形町系大勝軒に興味がある方は、こちらの記事も必読です! ライターの辰井裕紀さんによる、大勝軒本店の4代目と5代目へのインタビューでして、貴重な証言や写真が満載です!

店舗情報住所: 東京都江戸川区北小岩2-3-6
営業時間: 11:00~15:00, 17:00~20:00
定休日: 月曜日
主なメニュー焼きそば 800円
五目焼きそば 950円