大勝軒(日本橋本町)

2014年12月19日

日本橋。1911年(明治44年)に「東京市道路元標」が設置され、主要国道の起点となった日本の道路の中心だ。

日本橋 東京市道路元標と三越百貨店

道路元標の向かい側に建つ三越百貨店は1914年(大正3年)にオープン、1935年(昭和10年)に増築改修されたもの。当時は日本初のエスカレーターやライオン像が話題になったそうな。東京が市政だった頃の名残を留めるスポットで、「東京都選定歴史的建造物」にも選定された。

さて、人形町系大勝軒の3軒目はその日本橋から少し歩いた街中にある。こちらの創業は1933年(昭和8年)。前回前々回の大正時代から、ようやく昭和に至った。

日本橋本町 大勝軒

訪れたのは8月上旬、平日の11時過ぎ。三越から中央通りを渡って昭和通り方面にちょいと歩くと右手に鄙びた店舗が現れた。フードと壁の緑色が特徴的だ。店頭のショーケースには立体サンプルでなく写真が飾られている。

店内は明るくて清潔な印象。客席はテーブル5卓だが、2階に宴会席もあるらしい。家族経営らしく、夏休みで小学生の女の子もエプロンを着けてお手伝いしていた。

日本橋本町 大勝軒 メニュー

メニューは一般的な大衆中華でラーメンと半炒飯などのセットもある。茅場町の純レバ丼や日本橋横山町の振り仮名のような時代性をほとんど感じさせない。焼きそばの麺は「ヤワラカ」「カタヤキ」の二者択一。後者は50円増しだ。

「お決まりですか?」
「五目焼きそばのヤワラカ(900円)、ください」

入店時は自分ひとりだったが、後からすぐにポツポツと客が入ってきた。正午には満席だろうな。っと、目当ての品が運ばれてきた。

五目焼きそば(ヤワラカ) 900円

餡は銀餡。粘度は普通。具はモヤシ・人参・キャベツ・キクラゲ・小松菜・豚肉片。錦糸玉子にエビがトッピングされている。人参やキャベツが麺やモヤシに合う太さに揃えられている。丁寧な仕事をしているなあ。

自家製ストレート麺に具沢山の銀餡

麺は自家製らしく、ストレートの細麺で独特の食感。食べてみると餡との相性が素晴らしい。なんというかこの店の家族のようなまとまり具合。カラシ、酢も合う。ボリュームはほどほど。

以上、人形町系の大勝軒を3軒回って焼きそばを食べ比べてみた。後の店ほど味が洗練されてる気がするが、どこも焼きそば=あんかけというのが面白い。大正から昭和初期の東京では塩やソースよりあんかけの方が一般的だったのかな。餡が醤油ではなく塩主体の銀餡なのも興味深いなあ。

大勝軒

店舗情報TEL:03-3241-2551
住所:東京都中央区日本橋本町1-3-3
営業時間:11:00~21:00(土 ~14:00)
定休日:日曜日
主なメニュー焼きそば
 ヤワラカ 800円 カタヤキ 850円
五目焼きそば
 ヤワラカ 900円 カタヤキ 950円