オタフクソース WoodEgg お好み焼館

前回紹介したオタフクソース本社の工場見学を終え、200~300mほど離れた場所にある「WoodEgg お好み焼館」へ移動した。ここは同社が運営する施設で広島のお好み焼文化の啓蒙を目的としている。

オタフクソース WoodEgg お好み焼館

館内ではお好み焼の歴史について学ぶ「おこのミュージアム」の見学や、鉄板・ホットプレートで実際に調理する「お好み焼教室」、さらには飲食店開業を目指すプロ向けの研修も行っている。どれも予約必須だが、「お好み焼課」という部署まである同社ならではの取り組みだ。興味あるかたはぜひチェックを。

WoodEgg お好み焼館 5Fテラスからの眺め

お好み焼教室の前に、綺麗なお姉さんに館内を案内していただいた。まずはエレベーターで、普段入れないという5階のラウンジへ。こちらは特別なゲストをもてなすための部屋らしい。室内の写真はNGだがテラスからの宮島の眺めがすばらしかった。

おこのミュージアムにて、昔のお好み焼屋の再現

4階はプロ向けの研修センター。3階はホットプレートを使った教室で今回はスルー。そして2階の「おこのミュージアム」へ。こちらでは広島のお好み焼文化と、どのようにしてオタフクソースが今の味に行き着いたかを学ぶことができる。戦後の闇市時代の屋台や、昭和30年代後半頃に一般的だった駄菓子屋兼業スタイルなどを再現したブースもあり、個人的にぐっとくる。

闇市時代の屋台の再現もあり

闇市時代は鉄板の下に七輪を置いて加熱していたため、その加熱される部分だけが丸く色が付いたのだそうだ。なので今でも広島のお好み焼屋さんは、並行した直線状のガスではなく、丸く渦を描くガスで鉄板を熱するのが主流らしい。また、戦後に出回った鉄板の厚さが19ミリだったため、いまでもそれが広島の標準になっているとか。へー。

ソースの原材料の解説パネル

ソースの原材料についても分かりやすく展示されていた。多種多様な果物や野菜が使われているのは知っていたが、オタフクソースの甘味の元がデーツ(ナツメヤシ)の実だと初めて知って驚いた。ラオスで生のデーツを食べて大好物になったのだが、日本ではなかなか入手できない貴重な果実。そのデーツがお好みソース500gに約3粒分も使われているそうだ。すげー。

香辛料の展示パネル

それからソースに使われている香辛料。辛みづけ・臭い消し・香りづけ・色づけなど、各用途に区分された25種類のスパイスが展示されていた。これは調合を変えればカレーそのものだなあ。一種類ずつ小瓶に詰めたのを欲しくなった。スパイスの勉強に使いたい。

お好み焼教室!

1階へ戻って別館に移動。いよいよ、お待ちかねのお好み焼教室だ。「お好み焼課」の「お好み焼士・コーディネーター」、川本さんからレクチャーを受けつつ、広島のお好み焼を実際に調理していく。ちなみにこの川本さん、当ブログの愛読者らしい。ありがたやありがたや!

生地を丸く広げるとこからスタート

まずは鉄板に生地を垂らして、お玉の背を使って中心から外へと丸く広げて……と。鉄板の加熱、生地と食材の重ね順、麺の仕上げ方、玉子の焼き方など、様々な点で店の個性が出るとのこと。コテの基本的な使い方やひっくり返すコツなど、すぐに役立つであろう点も多い。レクチャー通りの手順でひっくり返し大成功。

ひっくり返すのが成功して嬉しいの図

ラードでパリッと焼き上げた麺を重ね、薄く広げて焼いた玉子を重ね、さらにもう一度ひっくり返し。なんとか順調に出来上がった。川本さんが私の完成品をコテで綺麗に切って、断面図を見せてくださった。うーん、我ながら層の重なりが美しい……

断面図が綺麗!

そして実食! 同社商品のいろいろなソースを用意してくださり、部分部分での味変を試してみた。もちろんスタンダードのお好みソースが一番合うが、レッドファイアソースというスパイシーなソースも、パンチが効いてて印象的だった。

自分で焼き上げると美味しい

お好み焼のあと、川本さんが特別に焼きそばを2種類焼いてくださった。まずは定番の豚肉とキャベツ、モヤシを使ったソース焼きそば。広島の多くのお好み焼店で使われている「いその製麺」の生麺を使った焼きそばだ。麺の焼き方が味わいにどう影響するか、解説しつつ調理していく。

2種類の焼きそばを調理してくださる川本さん

茹で上げた麺をやはりラードでパリッと焼き上げ、同社の焼きそばソースで味付け。キャベツがザク切りではなくお好みと同程度の千切りだったり、モヤシが細モヤシだったり、その辺りも広島らしさだ。モヤシは終盤で投入し、シャキッと仕上げるのがこちらのスタイルだとか。

定番の豚肉ソース焼きそば

出来上がりの味の方も文句なし。さすが広島のお好み焼で使われる麺と具材、それに特化したソースだけあって相性バッチリ。間違いない美味しさのソース焼きそばだ。おまけに名入りの箸入れまで用意していただいて感謝感謝である。

〆は変わり種の塩焼きそば

もう一つの焼きそばは同社の塩焼きそばソースを使った変わり種。梅ときゅうりの塩焼きそばだ。油を引かずに麺を焼き上げ、豚肉・キャベツ・揚げ玉に重ねる。少し蒸したあと、上から塩ソースを垂らして混ぜ炒め。モヤシも加えてもう少し炒めてから皿に盛り付け。梅とキュウリ、カリッと焼いたちりめんじゃこと糸唐辛子をトッピングして出来上がり。

梅ときゅうりの塩焼きそば

全体をよーく混ぜていただく。瑞々しいキュウリと梅干の酸味で、普通に食べる塩焼きそばよりずっと爽やかな後味だ。ちりめんじゃこは瀬戸内に浮かぶ倉橋島・音戸産とのこと。お好み焼館5階のラウンジで〆に出すメニューで、とても好評らしい。クックパッドにレシピが公開されていたので、興味ある方は自作してみると良いだろう。

名入れマイヘラが作れるぞ!

以上でお好み焼教室はおしまい! 川本さん、本当にありがとうございました! その後はお土産物コーナーを物色し、エプロンほかもろもろ購入。名前入りのマイヘラが作れるコーナーもあった。申し込んでから1本30分で出来上がるらしい。今回パスしてしまったが、やっぱり作って置けばよかったなあ。

オタフクソースの顔ハメ看板で記念撮影

最後はオタフクソースの顔入れ看板でパチリ。細部にわたって、おもてなしの心遣いを実感できる素晴らしい工場見学・お好み焼教室だった。オタフクソース本社の皆様、そしてもろもろ準備してくださったOHさん、ありがとうございました!!

さらにその後はOHさん、教室で教えてくださった川本さんと三人で広島市街のお好み焼店へ! 次週へ続くっ!

店舗情報住所: 広島県広島市西区商工センター7-4-5
ホームページ
主なメニューおこのミュージアム見学 無料
お好み焼き教室
鉄板コース 1000円
ホットプレートコース 700円
※ どちらも事前にネット予約が必要です
https://www.otafuku.co.jp/laboratory/event/index.html