みくま飯店

2016年7月8日

日田市を流れる三隈川からほど近い商店街にあるみくま飯店も日田やきそばの人気店だ。実は前回紹介した想夫恋の前に訪れたのだが残念なことに臨時休業だった。たまたま店先に出てきたお兄さんに確認したら申し訳なさそうに「イベントへの出店要請があって……」と告げられた。仕方なくその日は諦めたが、その後南九州をぐるっと回って二日後に再訪してみた。

日田市 みくま飯店

平日17時の夕方。そろそろ夜の営業時間だろうと来てみたのだが何やら外装をいじってる。看板も暖簾も幟も日田やきそば押しに改装中のようだ。AKBではないが、これが押し麺というやつか。人柄の良さそうな店主と奥さん、そして先日お会いしたお兄さん(息子さんとのこと)が作業を見守ってた。お食事は問題ないとのことなので入店する。

みくま飯店メニュー

メニューも焼きそばが一番最初に書かれ、あとはラーメンの類が中心だ。カウンターに腰掛け、奥さんに注文したのはやきそば650円。

「ゴー!」「ジャー!」

やがて厨房の鉄板上部にある換気扇が豪快な音を立て始めた。と共に麺を焼く音が炸裂する。何とも激しい。

後ほど店主に教えてもらったところによると麺は生麺を使用。ラーメン用のより太めで、これだと中がモチモチになるのだが、細い麺を使うとボソボソになってしまうそうだ。黒く焦げる手前のギリギリまで強火で強く焼く。焼くというより実際は揚げる感じに近いらしい。やはり日田やきそばの調理法は複雑なようだ。

やきそば 650円

さて、実食。麺は前述の通りやや太め。具はモヤシ・豚肉とニラ。ソースは甘からず辛からず、独特の旨味があるタレだった。麺も具も想夫恋に似た印象だが、よりクリスピーで歯応えもある。味は好みだろうが、こっちも美味しい。サービスの木耳入り白湯スープもコクがあって美味かった。

食後、店主ご家族としばしお話。先日のイベントというのは霧島酒造主催で、都城で行われたらしい。丁度、この日の朝に通って来た地域である。3.11の震災の影響で中止も検討されたが、こういうときだからこそと決行したとのこと。

「家族経営だからイベントだと店を閉じなきゃならないんですよ。わざわざ東京からお越しいただいてすみません」との言葉に、かえって恐縮してしまう。まぁ、平日もコンスタントに客が入らないと人を雇ったりはできないからなぁ……

訊けば今の店主の母親の代から始めて創業から40年。息子さんで三代目だが、三代に渡って味が受け継がれるというのは素晴らしい。

この日の午前中に宮崎のとあるお店に行ったのだが残念ながら昨年廃業してしまっていた。そこの名物も焼きそばで―――と言っても揚げ麺にあんかけを乗せたものだが―――、ひとつの味が永遠に失われてしまったと考えると寂しいものがある。

消えて行く味もあれば引き継がれていく味もある。三隈川が筑後川へと水量を増して行くように、みくま飯店にも末永く美味しい焼きそばを提供して欲しいものだ。

みくま飯店

店舗情報TEL:0973-22-7261
住所:大分県日田市隈1-5-21
営業時間:11:00~23:30
定休日:不定休
ホームページ
主なメニューやきそば 650円 大盛 800円 
らーめん 550円 大盛 650円 
ちゃーしゅーめん 720円 大盛 860円 

【11~14時】
焼きそばランチセット 500円
上記セット+サラダ 600円
ラーメン餃子セット 680円