揉合麺荘(ロウフゥメンソウ)
京王新線・幡ヶ谷駅の北口に、「中華食堂 揉合麺荘(ロウフゥメンソウ)」という店がある。青山の人気店・希須林(きすりん)を母体として、2019年に開業。場所は個性的な店が集まる飲食店街で、以前このブログでも紹介した「幡が谷のらんぽう」からもほど近い。
揉合麺荘の看板メニューは担々麺だが、焼きそばもあるという。前々から食べてみたいと思っていたので、新型コロナのまん延防止措置の直前、1月下旬の平日夜、飲食店が時短営業になる前に訪れてみた。
店舗は大きなガラス張りで、外からも中の様子がよく分かる。客席も厨房も余裕があり、開放感がある。壁や柱はトーンを抑えた、およそ中華食堂らしからぬスタイリッシュな内装である。
客席はカウンターのみでテーブルはない。10席ちょっとで、L字とコの字の間くらいの形で厨房を囲んでいる。平日の夜20時前で3人の先客がいた。
ランチタイムは担々麺などのメニューに絞られていて、店頭の券売機が稼働している。夜はバラエティに富んだ一品料理が主体になり、カウンターから直接注文する。
まずは台湾ビール(台湾啤酒)のクラシック(680円)と焼売(二ヶ・580円)を注文。台湾ビールは缶入りだ。厚みのあるタンブラーの無骨さが手に馴染む。軽めの喉越しが良い。
焼売はかなりのサイズだ。薄い皮が織りなす細かな襞で、表面全体が覆われている。みっしり詰まった豚肉の旨味に加え、レンコンかクワイか、刻まれた根菜のシャクシャクした噛みごたえが楽しい。
ビールを飲み干し、お代わりは自家製レモンサワー(680円)。甘くなくて自分好みだ。2品目はレバニラ(680円)。このレバニラが、これまで味わったことのないレバニラだった。
片栗粉をまぶされて油通しされた柔らかなレバーに、濃厚な甘辛のタレが絡まり未体験の旨さなのだ。ニラと一緒に頬張れば、ほのかな甘さのコントラストも楽しめる。昨年2月に放送された『ぶらり途中下車の旅』によれば、四川唐辛子とオイスターソース、鶏ガラスープと中国醤油でタレを作っているそうだ。うーむ、素晴らしい。
締めは「痺れる焼きそば」(880円)。麺はやや細め。花椒がたっぷり掛けられ、刻んだ赤玉ねぎの甘酢漬けがトッピングされている。脇には生キャベツの千切りに目玉焼きも添えられている。さらに麺の下にも味付けされた挽肉が隠れている。
まずは麺だけ食べてみる。併設された製麺室で毎朝打っている自家製麺だけあって、麺そのものが美味い。お店の方によると屋号の「揉合」は「手打ち麺」「自家製麺」を意味しているらしい。その麺がしっかり焼かれていて、独特な歯ごたえがある。
麺を味見したあとは、全体をよーく掻き混ぜた。目玉焼きだけは一旦脇に逃し、キャベツの千切りも混ぜ込んだ。食べてみると、意外にも辛さより甘さを感じる。『途中下車』によれば、オイスターソースにトマトペーストが隠し味だとか。その後に花椒の痺れ=”麻”の味わいがジワジワと効いてくる。目玉焼きを混ぜるといくらかマイルドになるが、痺れはかなりのものだ。これは美味い。
四川料理は混ぜ麺・和え麺は数多いのに、なぜか炒麺が少ない。有名な四川料理店でも、焼きそばは五目焼きそばなどの餡掛けがほとんどで、オリジナルな焼きそばを出す店は限られている。そんな状況を痛感している身としては、こういった斬新なスタイルの焼きそばが現れたことが、とても嬉しい。
食べ進めて終盤になると、皿の底から「白いごはんも合いますよ」の文字が現れた。これはズルいなー、と唸りながら白飯を注文。焼きそばの残りと混ぜて、麺とは異なる食味を最後まで楽しんだ。この日のお会計は3400円。
接客を含めて、とても好印象のお店だったので、数日後、妻を誘って2度めの訪問。このときは締めに汁なし担々麺(930円)をいただいた。シコシコでもっちりした自家製麺に、芝麻醤と肉味噌が絡んで、こちらも文句なしの美味しさだ。うーん、次回は汁あり担々麺か、それとも焼きそばリピートか。悩ましいなあ。
店舗情報 | 住所: 東京都渋谷区幡ヶ谷2-8-6 営業時間: 11:30~14:30、17:30~22:00 定休日: 水曜日、第1・第3木曜日 → ホームページ |
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主なメニュー | 痺れる焼きそば 880円 汁なし担々麺 930円 汁あり担々麺 980円 |
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