万俵
数年前、飲み仲間数人と門前仲町の万俵という居酒屋で飲む機会があった。昼から飲めるこの辺では貴重な店という以外は取り立てて特徴も無さそうな大衆酒場だ。しかし「ここの皿うどんが凄いんだよ」と案内人が注文したのが衝撃的な品だった。このブログでもその皿うどんを紹介しておきたい。
一人での再訪を果たせたのは昨年12月下旬のことだ。ちょうど冬至に当たる日曜の夕方19時ごろ。地下鉄東西線の門前仲町駅2番出口を出ると辺りは既に真っ暗だった。永代通りを東へ進み、富岡八幡宮参道の手前の信号を右折。見覚えのある看板が見えてきた。大衆酒場の文字が眩しい。
年末の日曜の夜だけあって店内は賑やかだ。フロアにはテーブルが多数置かれているがあらかた埋まっていた。こちらは一人なのでカウンターの一番奥に腰掛ける。
とりあえずビールってことで一番搾りの生(530円)を注文。お通し(350円)はクラゲの和え物。もう少し頑張ったお通しが欲しいところだがまあ仕方ない。
メニューによると皿うどんは680円。だがその前に何か一品をと探してみる。写真は極々一部で、海鮮系から串焼き・揚げ物・ご飯類と実にバラエティに富んだ品揃えだ。その中で目についたのがホワイトボードに書かれていたあら煮(200円)。数量限定のサービス品だそうで、そいつを注文。程よい味付けで思ったより可食部も多い。これは◎。安いし大正解。
お代りはチューハイ(350円)。炭酸が強めで俺好み。乾燥した喉がピチピチした刺激に喜んでる。さて、いよいよ目的のあれに行くか。
「お姐さーん」
「はーい」
「ここの皿うどんて、かなり大きいよね?」
「はい、こーんな大きな銀の器で出てきます」
「だよねー……一人で食べる人っている?」
「うーん、普通は大人数でつついてますねー」
「そっか……でもまあいいや! 皿うどんをひとつお願いします」
「はい!」
躊躇しつつも結局注文してしまった。やがて洗面器ほどもある金属の器が運ばれて来た。しかもスープのお椀付きで。実はこの皿うどん、長崎県民が見たらひっくり返すのではなかろうかという代物なのだ。
餡は多少とろみがかっている程度でほぼサラサラのスープ状態。具はキャベツ・モヤシ・人参・ニラ・イカ・エビ・キクラゲ。豚肉や紅白蒲鉾は無いがそこは許そう。それが巨大な器に並々と溢れんばかり入っている。
パリパリのはずの揚げ麺は当然クタクタに柔らかくなってしまっている。細麺を使っておきながらズルズル啜れる皿うどんなんて余所にあるのだろうか。しかも量がやたらと多い。トッピングの紅生姜やカラシ、酢を駆使して味に変化をつけるのが吉。
なぜつゆだくか?? なぜスープ付きか? なぜ門前仲町なのか? 疑問符を振り払いつつ食べ進める。麺と具を平らげたところで完全に満腹になってギブアップ。やはり一人で食べるのは無謀だったか。悔しいがスープを全て飲み干すのは諦めよう。
普段以上に膨れた腹を抱えてお会計。合計2110円。完食できなかった敗北感に包まれつつ帰路へ着く。そのうち本場の本格皿うどんでリベンジしたいな。江戸の敵はやはり長崎で討たないとね。
店舗情報 | TEL:03-3643-4922 住所:東京都江東区富岡1-24-12 営業時間:13:00~24:00(金・土・祝前は翌1:00まで) 定休日:無休 |
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主なメニュー | 皿うどん 680円 |
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