センターグリル

横浜の野毛にあるセンターグリルは、昭和21年に創業した洋食店だ。ケチャップ味のナポリタンの発祥店として、洋食では草分け的な老舗の一つである。

野毛 アメリカ洋食店 センターグリル

私が焼きそばを食べ歩いてる、と言うと、高確率で訊かれる質問がいくつかある。そのうちの一つが、「ナポリタンは焼きそばですか?」という質問だ。私個人の考える焼きそばの条件は3つある。このどれかを満たせば、それは広義の焼きそばだと考えている。

1.焼きそばとして提供されている= 「焼きそば」「炒麺」に類した料理名で提供されている
2.焼きそばと呼ぶべき料理である= 「麺」「そば」を「焼いた」「炒めた」料理である
3.焼きそばとして受容されている=1・2の条件は満たさないが受容側が焼きそばと認識している(かなりのレアケース)

上記3条件のうち、ナポリタンは2の条件に合致する。イタリアではソースを焦がさないよう和えることがパスタ料理の基本とされているそうで、炒めているわけではない。一方、日本のナポリタンはケチャップで味付けし炒めたものだ。中には焦げ目をつけたり、熱したプレートで供する店も多い。実態を考えれば、ナポリタンは焼きそばの一種だろう。

ただし、ナポリタンを代表とする炒めスパゲティまで焼きそばに含めてしまうと、このブログの対象が大幅に広がってしまう。私がカバーできる飲食店の数は物理的に限界があるので、あえて食べ歩きの対象から外している。そんな事情でこのブログでは普段、ナポリタンを扱っていない。

センターグリル 店頭メニュー

とはいえナポリタン発祥の店、センターグリルはいつかブログで採り上げたいと思っていた。ここ数年の課題だった『焼きそばの歴史』も刊行できたことだし、この機会に訪問してみた。

センターグリル 店内の様子

センターグリルを訪れたのは6月下旬、土曜日の夕方だ。一都三県に発令されていた3回目の緊急事態宣言が6月20日に解除され、まん延防止措置に移行して間もない頃だ。19時までなら飲食店でアルコールも提供可能になった。

センターグリル ランチメニュー

2人で入店し、店頭で手を消毒。検温して2階席へと促される。手近なテーブルに着席して、メニューを眺める。ナポリタン・オムライス・ハンバーグなどの定番や、様々な盛り合わせのランチが目を引く。

トマトチリ風味のひねり揚げ

私はナポリタン、ハーフサラダ、生ビール。連れは特製オムライス(サラダ付き)、エビフライ、レモンサワーを注文した(※)。お通しとして出されたのはトマトチリ風味のひねり揚げ。この店の名物だそうで、乙な味だ。
※緊急事態宣言の発令下ではない時期の訪問です。

ハーフサラダ 300円

ハーフサラダ(300円)はレタス、キュウリ、トマト、セロリ、白アスパラ、レモンスライスが盛られていた。味付けはマヨネーズ一本勝負。潔くてよろしい。

ナポリタン 770円

そして本命のナポリタン(770円)が登場。ステンレスの銀皿に、キャベツ千切りとポテサラが添えられている。麺は2.2ミリの極太スパゲッティ。あらかじめ茹でて油をまぶし、一晩寝かせてから使うらしい。具はウインナー、玉ねぎ、ピーマン、マッシュルーム。上には粉チーズが掛かっている。具はところどころ焦げているが、麺に焦げ目はない。

極太モチモチスパゲティが美味い

味付けはもちろんトマトケチャップ。熱で酸味を飛ばしてあり、濃厚な甘さと凝縮された旨味が、もちもちの極太スパゲティを包んでいる。連れの頼んだ特製オムライスを一口もらったが、そのチキンライスでも、トマトケチャップという調味料のポテンシャルを感じた。

そういえば、私が知る最も古いソース焼きそば、浅草・デンキヤホールのオム巻の味付けは、ソースにトマトケチャップを加えていたはず。仕上げにもケチャップが掛かっているが、中の焼きそば自体もケチャップを使った甘めの味付けなのだ。大正初期から提供していたとされるオム巻が、ナポリタン的な要素を備えていたわけだ。ソース焼きそばとナポリタンは、一般で思われている以上に近い関係なのかも知れない。

アルコールの提供終了時間間際に生ビールをお代わりして、お会計は2人で4200円。今回食べられなかった魅力的な洋食メニューがまだまだあるので、そのうちまた再訪してみたい。でもナポリタン、頼んじゃうんだろうなあ。

店舗情報住所 : 神奈川県横浜市中区花咲町1-9
営業時間: 11:00~21:00
定休日: 月曜(※祝日の場合営業)
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主なメニューナポリタン 770円