長谷川
かつて大阪市東成区の今里に独特な焼きそばを出す店が2軒あったという。極太麺を使った後掛けソースの焼きそばで具は玉ねぎと牛肉のみ。とても人気があったそうだがバブル期の平成2年頃に地上げのあおりで2軒とも残念ながら廃業してしまった。その味を懐かしむ声に押されて平成7年に今里焼きそばを復活させたのが「長谷川」である。
8月下旬の土曜日、激しい夕立の直後に訪問。緑橋駅方面から今里筋を南に進むと右手に「焼きそば 長谷川」と書かれた看板が現れる。暖簾を潜ると、鬼瓦のような強面の店主のおっちゃんがカウンターに腰掛けていた。夜の営業が始まったばかりで自分が口開けだったようだ。
「いらっしゃーい」
厨房に移動したおっちゃんからお冷を受け取る。入店から着席までの自分の挙動から余所者と察したのだろうか、おっちゃんの表情がちょっと硬い。メニューは焼きそばとトッピング類のみ。サイズが並・大・特大とある中から、焼そばの大(550円)を注文する。
客席はカウンターのみで厨房側に6席、背中合わせに3席ほど。失礼だがおっちゃんの雰囲気に似合わず、明るくて清潔な店である。調理してる様子は客席からは見えにくいが、油を敷いた鉄板に茹で麺を広げ、だし汁を掛けてじっくり蒸し焼き。焼き色がついたらひっくり返して出汁を掛け、もう一度蒸し焼き。同時進行で牛肉と櫛切りの玉ねぎをそれぞれ別々に焼き、最後にお皿に盛りつけて出来上がり。
うどんのような極太麺はかなりコシがある。しっかり焦げ目もついていて外はカリカリ、中はモチモチだ。出された状態で食べても出汁が十分滲みていて美味い。ソースを掛けようとすると「2~3遍グルグル廻して、しっかり掛けてな」とおっちゃんから指導が入った。言われた通りグルグルとソースを掛け、よーく混ぜて食べてみる。う、うまい! かなり酸味のあるソースだが、極太麺との相性が抜群だ。玉ねぎの甘味と牛肉の旨味も生きている。いやあ、これは本当に美味い。大でも適度な量だったので、これなら特大でも行けそうだ。
「ごちそうさまでした、美味しかったです」
「おおきに、ありがとう」
破顔一笑、ようやくおっちゃんの笑顔が見られた。飾り気は無いが味わい深い……店主は商ってる品に似るのかも知れない。コナモンの町・大阪でも異色の焼きそばは一度味わうだけの価値がある。
店舗情報 | 住所:大阪府大阪市東成区中本5-26-6 営業時間: [火~土]11:30~14:30、17:00~23:00 [日・祝]11:30~21:00 定休日:月曜日 ※月曜の祝日は夕方4時5時頃まで営業。売り切れしだい閉店。 |
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主なメニュー | 焼そば 並450円 大550円 特大650円 卵70円 具だくさん200円 シーフード200円 マヨネーズ50円 ニラ50円 |
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