あぺたいと酒場 月島店

新高島平に本店を構え、創業30年に及ぶ焼きそば専門店・あぺたいと。日田の想夫恋をルーツとする両面焼きそばは根強いファンを多く持ち、首都圏に5店舗を展開している。最近、東京に焼きそば専門店が増えているが、生麺を使ったハイレベルな焼きそばの先駆者として外せない店だ。

そのあぺたいとが、2月9日にオープンした複合飲食施設・月島宴会博物館で新業態の店を始めたそうだ。施設のサイトでは単に「あぺたいと」となっているが、あぺたいとの公式サイトの表記に倣って、当ブログでは「あぺたいと酒場 月島店」と呼んでおこう。メシコレのキュレーター仲間・ぼさのばさんを誘って早速訪問してみた。

あぺたいと酒場 月島店@月島宴会博物館

訪れたのは3月上旬、平日の20時近く。月島宴会博物館は地下鉄の月島駅と勝どき駅の丁度中間あたり、清澄通りともんじゃストリート四番街を結ぶ横道沿いにあった。以前紹介した老舗のもんじゃ屋、好美屋からも近い。表通りに案内が出ていないので、ちょっと迷うかも知れない。

あぺたいと酒場 月島店 店内の様子

建物は3階建て、打ちっぱなしに軽く内装しただけの簡素な造りだ。1階と2階に2店舗ずつ飲食店が入り、3階は貸切の宴会場、屋上ではBBQもできるらしい。あぺたいとはその1階に入っている。

あぺたいと酒場 月島店

フロアは空いていたので適当なテーブルに腰掛ける。あぺたいと酒場は両面焼きそばのほかに酒肴に力を入れた業態ということで、メニューもおつまみが結構充実している。なお飲み物の注文はそのフロアの店に限るが、食べ物は他の店舗のを注文してもOKというシステムだ。

しびれる水餃子 620円

とりありあえず一番搾りの生(480円)で乾杯。つまみにしびれる水餃子(620円)とガツのスタミナ炒め(620円)を注文。水餃子は厚めの皮にピリピリと刺激的な山椒が効いた肉餡が詰まっている。舌先の痺れが心地よい。

ガツのスタミナ炒め 620円

ガツのスタミナ炒めは歯応えのあるガツ=豚の胃とモヤシ・ニラを炒めたもの。ニンニクや醤油に加えて、芝麻醤だろうか、胡麻やナッツのような香ばしい風味もある。モヤシもニラも焼きそばの材料を上手に活用している点が面白い。

ビールのあとに頼んだプレミアムレモンサワー(550円)は檸檬酒(ニンモンチュウ)という中国のリキュールを使っていた。甘い酒があまり得意でない私の口にはちょっと合わず。

紅サワー(紅生姜サワー) 480円

むしろネタ的に頼んだ紅サワー(480円)が大当たり。紅生姜と漬け汁がジンジャーエール的に作用して、面白い上に美味しかった。昨年の夏にホテルニューオータニ大阪で飲んだ、小石原はるかさんプロデュースの「ガリハイ」を思い出させる味わいだ。紅生姜を残して中(焼酎と炭酸)を400円でお代わりできるのも嬉しい。

辛子蓮根 550円

続いて注文したのは辛子蓮根(550円)。ツーンとくる辛味が良い。昨年熊本へ行ったときにも食べたのだが、鼻風邪が悪化して嗅覚が無くなってしまい、バクバク食べても何ともないという事態に。辛くない辛子蓮根がどれほど味気ないかを体験したっけ。

茹で上げた麺の両面をしっかり焼き上げる

そして締めはもちろん両面焼きそば。ぼさのばさんは「三元豚と紫蘇と海苔の両面焼きそば(850円)」を、私はトッピング盛りだくさんの「三元豚のお祭り両面焼きそば(1050円)」を注文。注文が入ってから麺を茹で上げ、鉄板で両面を焼き上げて……という手順は本店そのままだ。

あぺたいと自慢の両面焼きそば

麺はパリパリに焼き上げられた中太の生麺。味付けは甘さと酸味のバランスが取れたオリジナルソース。短冊切りの三元豚にモヤシとニラを一緒に炒めてある。具材も麺の太さと調和するよう揃えている点も含め、とことんまでこだわりぬいたのが、あぺたいと自慢の両面焼きそばだ。

三元豚のお祭り両面焼きそば 1050円

私が注文したお祭り焼きそばはそこにあれこれトッピングしたもの。生卵と青葱は一般的だが、紫蘇・海苔・辛子高菜も盛られている。特に紫蘇と海苔はこの店のオリジナルで、あぺたいととしても初の試みらしい。紫蘇や海苔の風味に高菜の辛さと酸味も加わり、未経験の複雑な味わいに仕上がっている。これは美味いなあ。酒にも合う。

三元豚と紫蘇と海苔の両面焼きそば 850円

ぼさのばさんのは紫蘇と海苔のトッピング。これもひと口いただいたが、抑制された風味がソース味に意外なほど馴染んで、とても味わい深かった。このようにかなりアレンジしても揺るがないのは、やはりベースがしっかりしているからだろう。これまでにあぺたいとの焼きそばは新高島平本店で2回、馬喰町で1回食べたが、さすがと言える完成度だったのを思い出す。

その後、紅生姜サワーの中を一杯ずつお代わりして、お会計は一人約4000円。実力のある店が、こういう実験的な業態を始めてくれるのは個人的にとても嬉しい。この月島博物館に限らず他地域にも展開してくれるといいなあ。今度食べる時はノーマルの焼きそばを生卵も抜きで、麺とソースをじっくり堪能してみようっと。

あぺたいと酒場 月島店

店舗情報TEL: 050-5305-6086
住所: 東京都中央区月島3-14-8 月島宴会博物館1F
営業時間: 17:00~24:00
定休日: なし
ホームページ
主なメニュー三元豚のお祭り両面焼きそば 1050円
(青葱、紫蘇海苔、辛子高菜、卵のせ)

三元豚と青葱の両面焼きそば 750円
三元豚と紫蘇と海苔の両面焼きそば 850円
三元豚と辛子高菜の両面焼きそば 750円

トッピング
生卵・目玉焼き・温泉卵 各100円
辛子高菜・紫蘇海苔・葱 各150円