いずみ食堂
今回から一ヶ月ほど掛けて千葉県の焼きそば店をご紹介します。まずは木更津周辺から。
いずみ食堂は木更津にある大衆中華食堂だ。以前、篠田そば店を紹介した時に「木更津周辺には焼きそばを看板メニューにしている店が点在している」と書いたが、このいずみ食堂もその一つである。
訪れたのは昨年の五月ごろ。客席はカウンターのみで10席ほど。ランチタイムにはまだ少し早い時間で先客は居ないが、近所の人が店主のおばちゃんに何かお裾分けに来ていた。完全地域密着型である。
正面の壁に貼られていたメニューすら、なかなかの風格が漂っている。焼きそばの並が300円、大は450円。肉入りは350円、大500円。うむ、安い。焼きそば以外にもラーメン、カレーなどがあるが、ほとんどの人は焼きそばを食べるらしい。
少し迷って焼きそばの並(300円)を注文。持ち帰りか食べてくかを尋ねられ、食べてくと返事をするとおばちゃんが調理に取り掛かった。因みにこの店は乾麺を使用している。篠田そば店の記事でも述べたが、乾麺を使う点については近接地域のB級グルメ・竹岡式ラーメンに関連付けて考察する向きもある。
セルフサービスのお冷やをチビチビ飲んで待つこと数分。出来上がった焼きそばは300円と思えないちゃんとした量だった。おまけにスープまで付いてきた。
麺は前述の通り乾麺使用。ストレート麺に辛目のソースでやや濃い感じの味付けだ。具はキャベツに天カス。天カスにはエビの尻尾が紛れ込んでた。おばちゃんに聞いてみると、近所のホテルから仕入れてるらしい。エビの風味が美味くて得した気分だ。誰かの食べ残しってことはないよな。
スープは干ししいたけのダシがメインだろうか? 独特の風味で底の方には刻んだ玉ねぎが入ってた。この辺も何となく竹岡式ラーメンぽく感じた。
「これで300円は安いですねー」
「いやー、今はどこも300円くらいでお弁当出してたりしますから」
「ふーむ」
「お休みの日は私も他所でお弁当買いますが、よくこの値段で出せるなーと思いますよ」
「なるほど、確かに」
そう言われて松屋の牛丼240円セールなどを思い出してしまった。外食・中食産業のデフレ傾向がずっと続いているが、あまりに安いのは消費者にも不利益をもたらすと私は危惧している。私好みのこういう個人の店は価格勝負で大手チェーンに敵うはずもない。後継者問題などもあるだろうが昔ながらの店が次々と潰れ、フランチャイズが跡地に開業するパターンを身近に見てきた。淘汰は自然界の必然だろうが、多様性が失われた生態系が滅びてしまうのも必然ではなかろうか。
などと大上段に構えつつ安くて美味しい300円の焼きそばを完食。「よくこの値段で出せるなー」と思いつつ店を後にした。
店舗情報 | TEL:0438-37-0325 住所:千葉県木更津市桜井518 定休日:月曜 |
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主なメニュー | 焼そば 300円 大450円 特大600円 焼そば肉入 350円 大400円 特大650円 焼うどん 350円 大450円 ラーメン 400円 大450円 カレーライス 500円 チャーハン 550円 |
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