すみよし

2014年3月21日

漁業で有名な茨城の那珂湊に、太い「手延べせいろ蒸し麺」を使う独特な焼きそばがある。50年以上も昔から食べられている焼きそばで、2008年には那珂湊焼きそばのれん会という組織も結成。昨年8月時点で10店舗、現在は17店舗が加盟している。

那珂湊 喰い道楽 すみよし

さて、今回紹介するのは那珂湊漁港のほど近くにある食事処、喰い道楽・すみよし。あんこう鍋や刺身・海鮮丼など、那珂湊で水揚げされた魚介類を提供する魚料理店なのだが、実はこの店が那珂湊焼きそばの元祖だそうな。

訪れたのは12月上旬、日曜のおやつ時。メインストリートに出された看板に従って町中を進むと、角ばった建物と立ち並ぶ幟が目に入った。店頭の生簀からして、いかにもな和食処だ。客席はテーブルが2卓と小上がりが8卓。奥や2階もあるのかな?

「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」と女性の店員さんに促されてテーブルの一つに腰掛けた。卓上の品書きにはあんこう鍋を始めとした海の幸が並んでいる。あんこう鍋は一人前3675円、そのフルコースは5250円。どちらも2人前からの注文か……桁が違うな。

すみよし 那珂湊焼きそば メニュー

焼きそばメニューはその品書き内には無く、壁に張り出されていた。こちらは安心価格。お茶とおしぼりを受け取って、那珂湊焼きそばのソース味を中サイズ(473円)を注文。隣席の熟年カップルが食べている鍋が羨ましいが、「目的はあくまでも焼きそばなのだ。金がないからあんこうを食べられないわけではないのだ」と自分に言い訳しつつ待つ。

「お待たせしました、ソース焼きそばです」

来た。麺が太い。そして白い。

那珂湊焼きそば ソース中 473円

麺は当然、那珂湊焼きそばならではの手延べせいろ蒸し麺。具はキャベツとモヤシ、トッピングに青海苔。それと紅生姜が麺と一緒に混ぜ炒められていた。紅白の色合いが目に付いたので蒲鉾でも入っているのかと思った。というわけで肉を使っていない極シンプルな焼きそばだ。量は一人前として必要十分。

のれん会のサイトによると1954(昭和29)年に創業したわたなべ製麺所の初代社長が物見遊山で浅草を訪れてソース焼きそばに出会った。それに興味を持って試行錯誤の末に作ったのがこの手延べせいろ蒸し麺だそうな。その後、すみよしを始めとする地元の飲食店にその麺を持ち込んでメニューに加えてもらい、やがてこの地域に定着したという。

もっちり太い手延べせいろ蒸し麺

もっちりした食感の太麺は食べ応えがある。ソースによる味付けは薄めなのだが、ラードがたっぷり使われていてコクがある。食べ進めているうちに皿の底にソースが溜まっていると分かった。神田鯉風先生も書かれているように、ソースが良く絡まるよう全体を混ぜるとより美味しくなる。

食べ終えてお会計を済ませた後は、すぐ近くの那珂湊おさかな市場へ。ちなみにこちらのサイトには「ツバメ印のウスターソース」と書かれているが、京都のツバメソースを使っているのだろうか? 那珂湊から随分遠い気がするが……謎だ。

喰い道楽 すみよし

店舗情報TEL:029-262-3551
住所:茨城県ひたちなか市湊中央1-5-12
営業時間:平日11:30~15:00、17:00~20:00、土・日11:00~21:00
定休日:不定休
ホームページ
主なメニュー那珂湊焼きそば
ソース 中473円 大578円 特大683円
しょう油 中683円 大788円
ランチ(焼きそば・もつ煮・半ライス) 840円

あんこう鍋 一人前 3675円※
あんこう料理フルコース 一人前 5250円※
※どちらも二人前からの注文のみ