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ミルクホール若葉

2014年3月22日

さて、甘味処の次はミルクホール。東京の老舗のソース焼きそば特集は、もう少し続きます。


Wikipediaによるとミルクホールという業態は明治末期から昭和初期にかけて流行したらしい。日本全国に出来たとされているが、静岡の田舎で育った自分には全く馴染みがない。現存するミルクホールは甘味処や食堂として営業しているところが多いようだ。ラーメンで有名な神田の栄屋ミルクホールもそうだし、今回紹介するミルクホール若葉もそんな一軒である。私にとってはミルクホール初体験なので少し緊張している。

ミルクホール若葉

訪れたのは昨年の3月上旬。ほんの一年半前のはずなのに東日本大震災の前だからか遠い昔のように思える。ミルクホール若葉の最寄駅は住吉町だが、散歩がてら東陽町から歩いてみた。四ツ目街道を錦糸町方面に北上。美術館通り石島商店会を左に折れて一本目の路地を右に曲がってすぐの場所。時刻は丁度午後一時くらいだ。

暖簾を潜ると地元の爺婆がテーブル3つにばらばらに座って談笑してた。なるほど、駄菓子屋ではなくサロン的な存在なのか。残る一つのテーブルに腰かけると、エプロンをつけたおばちゃんがお茶を持ってきてくれた。力士の名前が入った湯呑茶碗。この辺りも下町っぽい。

ミルクホール若葉 メニュー

壁のメニューは意外にバラエティに富んでいる。私の訪問から半年も後の話になるが、とんねるずのTV番組の汚いけど美味しい店を紹介するコーナーでこのお店が紹介された。その時はカレーライスと焼きそばが取り上げられたようだ。ちなみにその時点で創業55年と紹介されたので開業は昭和31年頃と思われる。ミルクホールという業態にしては比較的新しい。

焼きそばの並(350円)を注文すると、奥の方で調理の音が始まった。老夫婦のじいさんが調理、ばあさんが給仕、そしてさっきのおばちゃんが諸々雑用を手伝ってるようだ。おばちゃんがお茶菓子(飴と煎餅)をくれ、細かく刻まれた紅生姜の入ったタッパーを、「お好みでどうぞ」と持ってきてくれた。さらに「お兄ちゃん、新聞読むかい?」とスポーツ新聞まで渡してくれた。心配りがきめ細かい。

待つ間も常連さんたちの江戸弁の会話を楽しんでいたのだが、何人かはそのうち帰ってしまった。やはり異質な人間が混じると居づらいのだろうか。昼休みが丁度終わった頃と言われればそうなのだが、憩いの場を邪魔して少し申し訳なく思う。やがて厨房が静かになった。じいさんの調理が終わったようだ。おばちゃんが焼きそばを運んできた。

焼きそば 並 350円

具はシンプルにキャベツのみ。青海苔はデフォルトで掛かっている。細かく砕かれたような青海苔で、あまり見かけないタイプだ。紅生姜をトングで摘んで少々乗せる。やや細麺で麺の量や硬さ、味付けの濃さなどはごく普通としか言いようが無い。業務用ではなく一般家庭向けに売られてる麺かもしれない。好みでソースを掛けるようにと言われたけど、このままで丁度良かった。

3月上旬なのだがこの日は晴れているせいか妙に暑く感じる。食べ終わる頃には焼きそばと煎茶のせいで汗ばんでしまった。お勘定を済ませて出ようとしたところで石油ストーブが点いているのに気が付いた。なるほど暑いわけだ。

温かい店で地元の爺さん婆さんたちが憩う様を見て、何となく日向でまどろむ猫たちの集会を思い浮かべてしまう。そういえば「この店で猫に会える」とネットで見かけた覚えがあるが見かけなかった。残念だ。今度来るときは探してみよう。

ミルクホール 若葉

店舗情報TEL:03-3644-3614
住所:東京都江東区千田6-2
定休日:日曜日
主なメニュー焼きそば 並350円 大400円
カレーライス 並450円 大550円