ラーメン Kiriちゃん
北海道初日の夜は、帯広の癒酒屋いこうを再訪問した。念願の骨無し手羽を食べ、店主や常連さんから焼きラーメンほか帯広のあれこれについて色々とお話を伺い、楽しい時間を過ごすことができた。会計を済ませ店を出たのは22時近くのこと。
最後にもう一軒、と締めに向かったのは帯広駅の北東にあるいなり小路だ。真夏とはいえ道東の夜風は冷える。長袖シャツを宿に置いてきたことを少し悔やみつつ歩くこと約30分。スナックが並ぶ横丁に、目的の店・ラーメン Kiriちゃんがあった。
こじんまりした店舗は、猥雑な横丁の雰囲気にマッチしている、客席は厨房に面したL字カウンターが数席で、先客は1人。ロンドンで行われている世界陸上のTV中継を見ながら、焼きラーメンをつまみにお酒を飲んでいた。
こちらのラーメンKiriちゃんだが、実は当ブログでかつて紹介しためん飯の店主だそうだ。帯広ばんえい競馬場の前で営業していたが、2014年に閉店。数少ない焼きラーメンの提供店が減ってしまって、とても寂しく思ったものだ。ここKiriちゃんをオープンしたのはその1年後、現在2年目とのこと。貴重な味が残って良かった。
メニューはラーメン、焼きラーメン、中華ちらしなど。1人で切り盛りしているので、当然めん飯時代よりも絞り込んでいる。焼きラーメン(700円)とハイボール(400円)をお願いすると「俺と全く同じだな」と先客のおっちゃんが笑った。「セットで少し割引にして売ったら」みたいな話になり、店主も乗り気な雰囲気だ。
先客がお勘定を済ませて出て行くと、「すみません、ちょっと出前に行ってきます」と断って、ご主人はおかもちを手に横丁内のお店へ出掛けた。戻ってきたご主人にうかがうと、飲み客からの焼きラーメンの評判が良いらしい。確かにばんえい競馬の前では飲み客いないし、この通りの方が向いているよな。
しばらくして焼きラーメンのできあがり。スープを添えて出してくれた。麺は細めの縮れ麺。腰が強めというか、やはり硬めに茹でてある。具は豚肉とカマボコ、それとみじん切りの万能ねぎがちらほら。トッピングの半熟煮玉子が嬉しい。紅生姜もちゃんと添えてあった。
味付はラーメンの醤油ダレかな。麺が軽く油をまとっていて、お酒に合う味わいだ。他で食べた焼きラーメンの豚肉は薄切りだったが、こちらは細切りを使用。また他店では玉ねぎが必ず入っていたが、こちらは野菜の姿はほぼ見えない。焼きそばよりもラーメンに寄っている印象だ。これがこちらの店の個性なのだろう。
料理は同じレシピで同じように作っても、作り手によって少しずつ味が異なるのが常だ。チェーン店でさえ、セントラルキッチンならともかく、各店で調理の工程が入る場合は差が出てくる。ましてや独立しているお店なら、教えられた味を守ること以上に、店ならではのオリジナリティが求められる。そしてその差異が食べ歩きの醍醐味だと思う。
当ブログでも、例えばご当地焼きそばを一括りにするのではなく、店に焦点を当てて一軒ずつ紹介しているのはそのためだ。厳格に言えば、同じ店でも食べる度に味は少しずつ変化しているはずなのだが、そこまでやりのは現実的に難しいのでご容赦を。同じ帯広の焼きラーメンでも、これだけ各店で個性が違っているので、ぜひ食べ比べてみてほしい。
なんてことを考えつつお会計は1100円。私が知る限りで現在、帯広焼きラーメンが食べられるお店は、ますや・癒酒屋いこう・どでからーめん・北京・ラーメンKiriちゃんの5軒。地元の方が丹念に探せば、他にも見つかるかも知れない。町おこし団体とか作ると飲食店の負担も増えてしまうのでそこまではしなくて良いと思うが、焼きラーメンが六花亭や豚丼に次ぐ帯広の名物になるのを密かに期待している。
店舗情報 | TEL: 080-1867-3115 住所: 北海道帯広市大通南8丁目 いなり小路 営業時間: 20:00~2:00 定休日: 日曜・祝日 |
---|---|
主なメニュー | 焼きラーメン 700円 ハイボール 400円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません