いりちゃん

2015年12月23日

神戸市の新長田駅から徒歩で南へ10分ほど。○の中に「五」と書かれた丸五市場にある「いりちゃん」。狭いアーケードの中ほどにある「そば焼」―――長田では焼きそばではなく「そば焼」と呼ぶ―――の店だ。

そば焼 いりちゃん

メニューはそば焼の並370円と大450円、オムそばプラス50円、ミックスジュース200円のみ。白飯を持ち込めばそばめしにもしてくれるが、今回の目的はそば焼の方。優しそうな店主のおばちゃんにそば焼の並を注文する。

「持っていくで、隣で待っててな」

この店の隣がフリースペースになっていてテーブルとベンチが用意されている。基本は持ち帰りのお店だが、そこで食べて行くことも出来る。日曜日の11時という時間で先客が一人そば焼を食べていた。自分もお冷を汲んで待つことしばし。鉄板で焼かれたそば焼が白い皿に盛られて運ばれてきた。「これで味付けてな」とソースや調味料も別テーブルから持ってきてくれた。

そば焼 並 370円

この店のそば焼はソース後掛けスタイルなので、出された状態での見た目は白い。麺は中細で若干柔らか目で、ところどころ焼き目が付けられている。そのまま食べても素朴な味わいがある。具はキャベツの千切りに肉カスのような肉片。万能ねぎも使われている。ソースは無印のソースとどろソースの2種類が用意されている。無印の方は甘目で、これをダバダバっと掛けて味付けのベースにする。柔らか目の麺とキャベツの甘味で円やかな味わいだ。どろソースは辛め。好みで適量を混ぜるとスパイシーになって、これまた美味い。

最後に神戸市小売市場連合会というサイトに記載されているこの店の紹介文を引用しておこう。

「そば焼 いりちゃん」は長田のそば焼の歴史を伝える、まさに「そば焼一筋!」の店。店主は神戸デパートのそば焼専門店「金六」で従業員として働いていた経験を持つ。デパートは震災で全壊したが、「もう一度あのそば焼を食べたい~!」と言うファンの声に後押しされて、「金六」の味をそのまま引継いだ店として、1998年に丸五市場に誕生した。

震災で一度は失われた味が、こうして復活を遂げたことは喜ばしい。東日本大震災でも閉店・廃業を余儀なくされた東北地方の店が幾つかあるが、この店「いりちゃん」のように再び味わえる日がきっといつか来ると信じて、その日を楽しみに待ちたいと思う。

いりちゃん

店舗情報TEL:078-641-2341
住所:兵庫県神戸市長田区二葉町3-10-11
営業時間:10:00~17:00
定休日:火曜日
主なメニューそば焼 並370円 大450円
オムそば プラス50円
ミックスジュース 200円
※白飯持ち込みで「そばめし」も可