鉄板やきそば酒場 しぶやき
ウインズ渋谷前の屋号のない焼きそば屋をご存知だろうか? 今でこそ真打みかさ渋谷店ができたが、かつては渋谷で唯一の焼きそば専門店だった。その焼きそば屋が9月1日にリニューアルオープンしたとの情報をTwitterで教えていただいた。屋号は「鉄板やきそば酒場 しぶやき」。早速確かめに行ってみた。
訪れたのは9月上旬、平日の夜20時ごろ。明治通りから一本入ったウインズ渋谷は、開催日の喧騒など想像できないほどに静まり返っている。目的の店は渋めの飲み屋さんという雰囲気に改装されていた。
客席はカウンター6脚、奥に立ち飲みカウンター。さらに奥にはテーブルもある。先客はそのテーブルに2人だけで、カウンターは空いていた。着席して生ビール(350円)と葱の一本焼き(180円)を注文。価格設定がめちゃ安い。鉄板で焼かれた長ネギを、干し桜エビの香りを移したオイルにつけて食べる。なかなか乙な味だ。
店を切り盛りする若い店主は、元の店主の息子さんで元エンジニア。9月オープンだけどその前を含めれば創業53年という老舗で、その2代目ということになる。詳しくは後述するが、昔からの常連さんのために、土日は旧来の店のスタイルで営業するそうだ。
葱を肴に落ち着いたところで、本命の焼きそばを注文しよう。焼きそばは黒(ソース)・白(塩だれ)・赤(ラー油)の3つの味がある。さらにソース味にカレー・麻婆豆腐・ミートソースを掛けたバリエーションもあり、それぞれに色の名前がついている。マーブル以外は競馬の枠色にちなんだ命名なのが面白い。
ちょっと迷ったが、初回なので王道の黒、自家製ソース味(650円)を注文した。鉄板に蒸し麺を乗せ、蓋を被せてさらに蒸す。炒めた具と合わせて混ぜ炒め、味付けして出来上がり。
麺は中太。従来の焼きそばに使われていた麺に比べると、モチモチでリッチな食感だ。具は豚肉、キャベツ、モヤシ。そしてこの店では欠かせない干し桜エビ。玉子トッピングは本来50円だが、今はオープン記念でサービスしてくれるらしい。紅生姜と青海苔は卓上にあり、適量を盛り付けてみた。
ボリュームはつまみとして適当な量。ソースはバランス良くブレンドされた自家製で、マイルドな味わい。味付けがほどよく抑制されているため、干し桜エビの風味を邪魔しない。この味ならカレーや麻婆豆腐、ミートソースを掛けてもケンカしないだろう。塩もラー油も食べるとなると、何度も来なきゃならないなあ。
酒も競馬にちなんで、ラベルに蹄鉄が印刷されたサッポロのバリキングという酒が用意されている。単勝や馬連、上り馬などの味方の名前も個性的だ。定番という単勝バリキング(350円)を一杯飲んてみた。生姜が効いてて健康になれそうな味わいだった。
土日は椅子をとっぱらった立ち飲み形式で、焼きそばも旧来の焼きそばに戻すそうだ。また、生ビールもあるが、あえて缶ビールも置くという。50年以上の歴史を持つ店だけに、常連さんにも気を遣っているのが素晴らしい。
この日はお酒2杯でお会計。昔ながらの老舗がこういう形でリニューアルってのは、個人的にとても嬉しい。他の味も食べにまた来なきゃだなあ……っと、約一週間後のつい先日、知り合いをお誘いして再訪。
ハムカツやら塩辛キャベツ、定番の「黒」のあとに、焼きそばの「白(自家製だし塩/650円)」と「マーブル(麻婆豆腐/750円)」をいただいた。「白」はソース味以上に桜エビの風味が香る旨味主体の味付けだ。
「マーブル」は、花椒を効かせた麻辣な麻婆豆腐がソース焼きそばに掛かっている。豆腐が細かく麺にも絡みやすい。「ソースに麻婆がこんなに合うとは」なんて同行者と頷きあった。お試しあれ。
店舗情報 | TEL: 03-3400-1154 住所: 東京都渋谷区渋谷3-13-1 営業時間: 11:30~15:00 17:00~22:00 (土日:9:30~17:00) 定休日:月曜・祝日 → ホームページ |
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主なメニュー | 焼きそば 黒(自家製ソース) 650円 白(自家製だし塩) 650円 赤(自家製ラー油) 700円 イエロー(カレー) 750円 マーブル(麻婆豆腐) 750円 ピンク(ミートソース) 750円 |
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