100人中29人が人生で1番美味しいと言った焼きそば
神田の須田町交差点のすぐそばに、「京風カレーおこしやす」というカレー専門店がある。カレーは未食なのだが、その店が水曜日だけ焼きそば専門店として営業しているらしい。前回紹介したトキハソースの工場直売も水曜だったので、有給休暇を取ったついでにハシゴしてみた。
9月下旬の水曜日。お昼時に靖国通り沿いを歩いてみると、焼きそばの幟が立っていた。それを目印に横道に入ると、ドアと暖簾を発見。「100人中29人が人生で1番美味しいと言った焼きそば」。どうやらこれが屋号のようだ。
ドアには「焼そば29/100」という略称も書かれている。増加中の高級食パン店に倣ったマーケティング手法だろうか。ドアを入ってみると、半畳ほどのスペースしかない。何も案内がないが、右手に階段があったので、それを登ってみる。
2階には券売機があった。ここまでたどり着けない一見さんもいそうな気がする。券売機の上半分はベニヤ板で覆われ、カレー類のボタンが塞がれていた。
選べるのは焼きそばの並と大盛り、あとはオプションだ。並と味御飯の食券を購入して奥へ進む。右手が厨房で、それを囲むようにカウンター席が9席あった。午後1時近くで半分ほどの入りだった。
カウンターの中ほどに腰掛け、店主さんに食券を渡す。焼きそばの調理はフライパンだ。調理の様子を眺めたり、店主さんと他のお客さんとの会話に聞き耳を立てたりして待つこと10分ほど。「お待たせしました」と注文した品々が提供された。
麺は細めの蒸し麺。京風カレーを名乗っているので、関西風の茹でた太麺を想像していたが、予想は完全に外れていた。具は干しエビ、キャベツ、モヤシ、細切れ肉。味付けはソースで、鰹節、青海苔、サキイカがトッピングされている。
麺は歯応えが特徴的で、カリッと焼き付けた焦げ目が美味い。富士宮やきそばっぽく感じたので確認したところ、叶屋の麺を取り寄せているそうだ。店主さんは「富士市の」と仰られていたけど、富士宮市で正しいはず。北海道産の小麦を使った製品で原価も割高だが、あれこれ比べてこの麺に行き着いたという。(これかな?)
その麺を2種類の出汁を使って解し、下味を付けているそうだ。「麺は静岡ですが、焼き方は大阪、ソースは広島です」とのこと。確かにソースはバランス重視という味わいで、いかにも関西と思わせるような濃厚さではない。下味の出汁に小エビやさきいかなどの具を加え、多種多様な旨味を重ねている点も、この焼きそばの大きな特徴ではないかと思う。ちなみにWEBの情報によると、店主さんは懐石料理をされていた方らしい。なるほどー。
付け合せの味御飯は日によって変わるそうで、今日はキノコのあんかけご飯。出汁が主体の抑制された味わいで、つい微笑んでしまう美味しさだ。焼きそばとも合う。
もともとはまかないで作った焼きそばを、水曜限定で提供しているとのこと。カレーの街・神田で、焼きそばが着実に足場を築きつつあるのが、焼きそばファンとして心強い。29%という割合はともかく、多くの人に試してほしい焼きそばであることは間違いない。京風カレーもいつか食べに行かねば。
店舗情報 | 住所 : 東京都千代田区神田須田町1-3 神田ランドビル 2F 定休日: 水曜のみ営業、通常はカレー専門店 |
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主なメニュー | 焼きそば 並 850円 大盛 1000円 |
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