トキハソース(株)工場直売所
東京都北区滝野川にあるトキハソースは、大正12年に創業したソースメーカーだ。孔雀(英語でピーコック)をモチーフにした「トキハピーコックソース」の製造元である。「東京で一番古いソース会社」という謳い文句には、個人的に同意しかねるのだが、東京を代表する老舗ソースメーカーの一つであることは間違いない。
そのトキハソースが滝野川の工場で、ソース焼きそばを直売している。販売開始は今から2年ちょっと前、2019年6月19日のことだ。「瀧野川やきそば」と銘打たれたそれは、水曜の昼のみ限定発売。新型コロナで一時的に販売中止されたが、今年4月に完全予約性で復活した。
販売は週に一回、水曜の昼のみ。しかもLineで事前に予約が必要と、食べるまでのハードルが高いため、なかなか行けずにいた。しかしこの9月下旬、シルバーウィークの水曜に、有給休暇を使ってようやく訪問を果たすことができた。
最寄り駅はJR埼京線の板橋駅なのだが、住所は板橋区ではなく北区だ。工場の敷地内にテントを張り、そこで販売していた。調理は脇に停められたキッチンカーだ。白衣の社員さんが鉄板でキャベツと麺を炒めている。講談師・神田鯉風先生のツイートによると、2019年の開始当初はこのキッチンカーのカウンターで販売していたらしい。
拙宅の隣りの町会・北区滝野川七丁目に在るのが、大正十二年創業・都内最古の地ソース屋さん「トキハソース」ですが、キッチンカーを新規購入して先月から始めた水曜だけの「瀧野川焼きそば」。パック売りだけナンで、拙宅まで持って帰って食べるコトと致しましょ。楽しみですナ。#北区に帰宅しよう pic.twitter.com/WqlSPEmj0N
— 神田鯉風@がんばれ早苗! (@Kanda_Rifuh) July 3, 2019
数人の順番待ちのあと、予約画面を見せて五百円と引き換えに焼きそばを受け取る。ちなみに工場の角にはソースの自動販売機が設置されている。その自販機でソースを購入している人も数人見かけた。現在は非加熱製法を特徴とする生ソース三種と、こだわり抜いた特選ソースが同社家庭向け商品の主要ラインナップだ。
受け取った焼きそばを手に、すぐ近くの公園へ移動。こういうテイクアウトの専門店は、晴れた日に訪問するのが望ましい。雨だと食べる場所を探すのに手間取るんだよね。
ベンチに腰掛け、瀧野川やきそば(500円)を早速賞味してみた。ペットボトルのお茶は、駅から来る途中で買ったものだ。
パックを開けて何より目を引くのは、トッピングのローストビーフだ。特選ソースで味付けされたローストビーフの大きなスライスが4枚も乗っている。以前、同様の品を自作してみたことがあるのだが、ソースだけの味付けでも十分美味しいものだ。
焼きそばの麺は、東京基準だとやや太めの縮れた蒸し麺。ほんのり上品な甘さのソースが、モチッとした麺に合う。大ぶりにカットされたキャベツや、ちらほら見える肉片も良い味を醸している。豪華な具に注目しがちだが、焼きそばそのものにもこだわりが感じられる。
添えられたきんぴらごぼうもソースで味付けされているそうだ。同社の説明によると、ゴボウもニンジンも江戸時代の滝野川地域の特産品だったらしい。人参の甘さが印象的で、ローストビーフや麺と一緒に頬張っても美味しい。トレードマークの孔雀のように、華やかな印象の焼きそばだった。
地域に根付いた古くからのソースメーカーが、こうした試みを実現するまでには、いろいろな課題があったことだろう。ソース消費拡大のための試行錯誤を個人的に応援したい。ハードルの高さゆえ購入可能な人は限られるだろうけど、ソース焼きそばの美味しさを再認識して欲しいなー。
店舗情報 | 住所 : 東京都北区滝野川7-39-8 定休日: 営業は水曜のみ、完全予約制 営業時間: 11:30~13:00 → ホームページ |
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主なメニュー | 瀧野川やきそば 500円 |
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