いち福
蒜山高原で長年食べられてきたひるぜん焼そば。ジンギスカン由来の味噌ダレ・かしわ肉・キャベツが特徴とされ、姫路での第6回B1グランプリを制して今や全国区である。
ところで私の愛読書のひとつ『ソース焼きそばの本』によると、出版当時はどの店でも共通の太麺を使っていたようだ。銘柄までは書いてないのだが、どうやら竹井食品の「ゆで焼そば」という麺らしい。現在、ひるぜん焼そばのサイトでは特に言及されておらず、細麺を使っている店もあるようなので、麺の制限はその後無くなったのだろう。
B級グルメで町興しするうちに制約が変わるのは他所でもある話だ。しかし、どうせなら昔ながらの品を食べたいと思う。というわけで、件の本で取り上げられていた2軒の店を昨年の5月下旬に訪れてみた。
まずはいち福という焼肉屋さん。ひるぜん焼そばの元祖、ますや食堂の常連だった店主が脱サラして始めた店で、タレと親鶏に拘って元祖の味を再現したという。
蒜山高原の爽やかな風の中をバイクで走り、平日の11時頃に到着。丁度開店のタイミングで、店主が暖簾を出したのを確かめ、会釈しつつ入店。この店に来るのは二度目なのだが、前回と同じく入り口に一番近いテーブルに案内された。
この店はテーブルにしろ座敷席にしろ、仕切られているため全体の席数は良く判らない。ただ駐車場の広さからすると、かなりのキャパがありそうだ。焼肉屋なので各テーブルに焼き台とロースターが設えてある。っと、笑顔の可愛いお姉さんからお冷とメニューを渡された。
メニューの片面にはひるぜん焼きそばの他に冷麺やラーメン、その裏には焼肉定食などが並んでいる。ノンアルコールビールとのセットにも心惹かれたが、普通のひるぜん焼きそば(680円)を単品で注文した。
厨房の様子は全く見えないが恐らく鉄板と小手で調理していることだろう。炒める音が聞こえ始め、しばらくして「お待たせしました」とお皿が運ばれてきた。
麺は件の「ゆで焼そば」か、太麺でしなやかな柔らかさだ。具はひるぜん焼そばの定番通り、キャベツとかしわ肉のみ。かしわ肉に親鶏を使用しているのがこの店の特徴でもある。そして脇に紅生姜のトッピング。
摩り下ろしたリンゴと玉ねぎを使ったタレは、パンチの効いた独特の味わいだ。モチモチした太麺によく馴染む。親鶏のコリコリ、キャベツのシャキシャキした歯応えも楽しい。個性的だが全体のバランスが保たれ、万人受けする美味しさになっている。素直に美味しい。
初回訪問時に店主さんに伺ったところ「蒜山でもうちのはかなり独特の味」だと言っていた。元祖を再現したはずなのに独特になるというのも、なかなか興味深い現象だ。ま、各店の味に個性が出てきた分、食べ歩きの楽しみが増すと考えておこう。
店舗情報 | TEL:0867-66-5366 住所:岡山県真庭市蒜山中福田207-5 営業時間:11:00~14:00、17:00~22:00 定休日:月曜日 → ホームページ |
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主なメニュー | ひるぜん焼そば 680円 ひるぜん焼そば+生ビール(中)のセット 1100円 ひるぜん焼そば+ノンアルコールビールセット 900円 ひるぜん焼そば+ソフトドリンクのセット 800円 |
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