Sawtelle Tempura House

日本人が提供する焼きそばとして、Shin RamenYaki Pan を紹介したが、どちらも新しめの店で、スタイルも尖っている。もっと地域に密着した昔ながらの日系人が作る焼きそばも味わってみたい。そんな店がないかなーと調べてヒットしたのが、ソウテル大通り(Sawtelle Blvd)沿いにある Tempura House という店だ。

途上の車窓から撮影

場所は私が泊まっていたHollywoodからだと13㎞ほどの距離があり、Santa Monica行きの快速バスを使って1時間ほど掛かる。セレブたちが暮らす高級住宅街・Beverly Hillsや、折り紙をモティーフにしたTHE CHASE (HACER)という作品群など、車窓から見える景色がちょうどよい気晴らしになった。

Sawtelle Tempura House, LA

最寄りのバス停を降りたのは土曜日の正午。ギラギラと照り付ける直射日光を浴びつつ約1㎞、15分ほど歩いて目当ての店に到着。周りは住宅街で、Tempura House はその一角にある昔ながらのお弁当屋さんだった。テイクアウト専門店だが外のテーブルで食べることもできる。

Sawtelle Tempura House, 店内の様子

こじんまりしたお店は日本人の老夫妻2人で切り盛りしている。こちらの英語記事によると、2010年の時点でご主人が75才、奥さんは72才。それから7年経つので、お二人とも80前後だろうか。1989年にお店を始められたそうだから、創業28年になる。50歳を超えてからLAに店を出すなんて凄いなあ。

Sawtelle Tempura House アラカルトメニュー

メニューは注文カウンターの上に掲げられている。アラカルトの左上、White Riceの下の「Cho Mein」が焼きそばだ。おかずはチキンカツ、トンカツ、野菜天ぷらなどなど。おにぎりや天丼、テリヤキチキン丼、チキンカレーなどもある。

Sawtelle Tempura House セットメニュー

人気なのはLunch Platesというセットメニュー。ご飯に焼きそば、それとおかず2品なら 2 Meat Combo($9.00)、1品なら 1 Meat Combo($7.25)となる。せっかく遠いところを来たのだからと 2 Meat Comboを注文。支払いはキャシュのみ。カードは不可。

なんだかすごいことになっちゃったぞ

奥さんが盛り付ける際に「軽めでいいですよ」と伝えてみたが、あまり減ってない。それどころか「よかったらこれも食べてね」とスイカを付けてくれた。缶飲料も1本購入してお会計は$10.50。端数はおまけしてくれた。なんていいご夫妻なんだ。店頭のテーブルでさっそくいただこう。

2 Meat Combo $9.00

まずはお弁当の中身をざっと紹介。右下が焼きそば(Cho mein)。その左がチャーハン(Fried Rice)。おかずはハンバーグ・白身魚フライ(x2!!)・野菜炒め。樹脂製のお弁当箱はかなりの大きさで、持つとずっしり重い。缶飲料はカルピスをチョイス。あとおまけのスイカね。

焼きそば(Cho mein)は中華風

焼きそば(Cho mein)は中太の平打麺。モソモソした食感だがこれはこれであり。具は人参、セロリ、モヤシ、キャベツ。味付けは薄めで黒コショウを効かせてある。日本のソース焼きそばではなく中華風だが、ちょっとソースっぽい風味も香って、面白い味わいだ。

チャーハン(Fried Rice)も美味しい

その隣にチャーハン(Fried Rice)が盛られている。PANDA EXPRESSではチャーハンと焼きそばの合い盛り(ハーフ&ハーフ)が人気なので、それに倣ったスタイルかも知れない。ご飯にコーン、人参、グリンピース。ヒジキやゴマもチラホラ見える。こちらもなかなかスパイシーだ。

アメリカでは貴重なハンバーグ

ハンバーグ(Chicken Hamburg)は厚みが凄くて、めっちゃボリューミー。照り焼き風のタレも美味しく、おかず力が高い。「アメリカにはハンバーグがない」という記事を最近読んだが、そのためかこの店のハンバーグもかなり独特だ。ハンバーグに入れる野菜と言ったら微塵切りの玉葱で決まり。そんな先入観があったが、それを裏切るように断面から人参やキャベツが「こんにちは」している。面白いなー。

白身魚フライ(Fish Katsu)はガッツリ2切れ

白身魚フライ(Fish Katsu)は日本で食べるのと全く同じ。のり弁に乗ってるお馴染みのやつだ。ただしそれがガッツリ2切れ乗ってる点が、アメリカっぽい。野菜炒めはブロッコリー、キャベツ、人参を炒めたもの。味付けはごくあっさりで、焼きそばやチャーハンと同様にスパイスを効かせてある。

カルピスはCalpicoです

半分ほど食べたところで小休止。残りを眺め、「まだこんなにあるのか……」と思いつつカルピス、いや、カルピコ(Calpico)を飲む。割と有名な話だが、「カルピス」という商品名が「Cow Piss(牛のおしっこ)」に聞こえてしまうため、北米では「カルピコ(Calpico)」という名前で売られている。味は日本で飲むカルピスと全く同じ。懐かしい味わいだ。

デザートのスイカでもうお腹一杯

小休止で気合を入れなおし、残りを何とか平らげた。そしてデザートのスイカをいただく。冷たくて、瑞々しくて、暑いロサンゼルスではことのほか美味しい。お弁当のボリュームで既に満腹だったが、どうにか完食。もう何も入らない。ごちそうさまと合掌する。

それぞれの味が日本の標準とはちょっと異なっているので、正直、好みは分かれるかも知れない。しかし、それも含めてこの店は自分の好みにドンピシャだった。ご夫婦の心遣いや優しさ、やりたいことが端々に見えるのが何より素晴らしい。こういう形で日系移民は異国の地に根を張って来たんだなー、なんてしみじみしてしまった。焼きそばが売りの店なわけじゃないけど、本当に来て良かった。

西海岸を代表するビーチ・Santa Monica

この後、バスでさらに先へと進み、西海岸を代表するビーチ・Santa Monicaをウロウロしてみた。海水浴や観光目当ての人で賑わっていたが、堤防の先端では地元のおっちゃんたちが魚の切り身を餌に釣りをしていて、日本と通じる雰囲気も感じられた。違う点もあれば、共通する点もあり。旅は楽しい。

店舗情報住所: 1816 Sawtelle Blvd, Los Angeles, CA 90025
TEL: +1 (310) 479-5989
営業時間: 9:30~15:00
定休日: 日曜
主なメニューLUNCH PLATES
A. 1 Meat $7.25-
B. 2 MEAT $9.00-

Cho Mein $1.75-
Chicken Curry $5.00-