お知らせ


突貫亭

2017年8月3日

石鎚山に連なる瓶ヶ森に源を発して徳島を東西に横切る清流、吉野川。四国三郎の異名を持つその大河の河口近くに、突貫亭という焼きそば専門店がある。創業は2006年だが、公式サイトによるとルーツは30年前、徳島市内にあった”2-BOAT”、通称タグボートと呼ばれた喫茶店まで遡れるらしい。ともかくも「徳島唯一の焼そば専門店!」と謳っている店だ、行かねばなるまい。

徳島市 焼そば専門店 突貫亭

訪れたのは昨年4月中旬の平日。この日、南海フェリーで徳島港へ上陸したのが10:35。開店時間の11時まで少し時間を潰してから突貫亭へやってきた。外観・幟から内装まで店名を前面に出しており、遠目にも店の場所が良く分かった。

突貫亭 正面

店内はL字カウンターのみで20席ほど。清潔で明るい雰囲気の店舗である。開店後まもなくの入店だったが、先客が既に二組いた。だいぶ人気のようだ。入り口近く、丁度厨房が見える位置に腰掛けたので調理の様子が良く見える。スタッフは渋いヒゲの店主と背の高いお兄さんの二人。平らな鉄板ではなく中華鍋を使うようだ。

メニューを撮影し忘れたが、基本的には焼きそばのみ。焼きそばは「突貫亭焼きそば」と「豚キムチ焼きそば」の2種類があった。オーダーは焼きそばの種類(突貫亭・豚キムチ)、麺の太さ(細・太)、味付け(ソースだれ、醤油だれ)、サイズをそれぞれ選んで告げる。なんだか流行りのラーメン屋のようなシステムだ。とりあえず初めてなので基本と成るであろう突貫亭焼きそばの細麺、ソース、普通サイズ(500円)とオプションの「通のための落とし卵」=いわゆる生卵(50円)を注文。

温まった中華鍋に油を引き、肉類を炒めて野菜を投入し、塩・コショウで味付け。さらに麺を解しいれてソースで味付け。十分に熱したスキレットに盛り付け、玉子を落として出来上がり。

突貫亭焼きそば(細麺ソース・500円)+落とし卵(50円)

麺は柔らかめの細麺。野菜はザク切りのキャベツに髭根を取ったモヤシ。それからイカも入っていた。量はやや少なめ。トッピングは青ネギと削り粉に生卵。写真を撮る時に忘れてしまったが卓上には紅生姜もある。

卵を崩してハフハフ食べる。黒胡椒がかなり効かせてあるのが特徴的だ。器は熱々だが焦げ目が無いのが少々意外。中華鍋だと野菜の水分を麺が吸ってしまうのかも知れない。量的にちょっと物足りないなぁ、大盛りにすればよかったなぁ、などと思ってメニューを見直すと、焼きそば専門店なのに御飯と味噌汁がある。ああ、徳島も「焼きそばはおかず」文化圏だったのか。

黒胡椒が特徴的な焼きそばでした

関東圏の焼きそば専門店だと量の調節は専ら麺の玉数で行う。しかし関西圏では御飯を付けることで調節することも多い。そばめしもその発展形かも知れないが、必然的に関東は焼きそば単独で食べ飽きない味を、関西は御飯のおかずとしても美味しく食べられる味を志向したのではなかろうか。関西のこってりした甘めのソースと、関東のさっぱり酸味の効いたソース。焼きそばに使われるソースの差もその辺からくるかも知れない。黒胡椒のせいか、実際、この店の焼きそばも御飯が食べたくなってしまった。

「そういえば徳島ラーメンも生卵が特徴だったよなー」と思って、はたと気が付いた。そういえば徳島ラーメンも基本的には「御飯のおかず」という役どころだったと聞く。ラーメン屋に似た業態の徳島の焼きそば専門店が、御飯のおかずにもなる焼きそばを供するのも、そう考えると納得がいく。

恐らくは見当外れであろうそんな仮説をモヤモヤ考えつつ完食。お勘定を済ませて「ありがとうございましたー」と送り出してくれた店主と兄さんの笑顔も、店舗同様、明るく爽やかであった。

焼そば専門店 突貫亭

店舗情報TEL:088-664-0423
住所:徳島県徳島市金沢2丁目2-37
営業時間:11:00~24:00
定休日:年中無休
主なメニュー突貫亭焼きそば
普500円 大600円 特700円

熟成キムチ焼きそば
普550円 大650円 特750円

肉 100円~ イカ 50円~
エビ100円~ 野菜大100円~
通のための落とし玉子 50円~
キムチ増量 100円~