うえた

2016年7月14日

数ヶ月前のある日のこと。高知の焼きそばをリサーチしていたら四万十市(旧中村市)の情報がヒットした。地元の方のブログ記事や掲示板のログによると、焼きそばが人気の店が何件かあるようで、「うえた」というお好み焼き屋が代表的な存在らしい。どんなお店だろうかと5月に訪れてみたが、残念ながら臨時休業で振られてしまった。

そして7月下旬。先日の記事でもちらりと述べたが、絵金祭りというイベント目的で高知を再度訪れた。二泊三日の日程のうち、一日だけ日中に時間が取れることになり、どこへ行こうかと考えて思い出したのが前述の店だ。

四万十市の中心部にある市街地・中村は高知県でも西南の幡多地域に位置する。高知から中村まで100km以上の距離があって、同県内とはいえ交通費や時間も掛かる。だが、高知に来れる機会も滅多にない。いろいろと検討した末、焼きそばを食べるためだけに日帰りで往復することに決定した。

高知から中村までの交通手段は鉄道を利用した。普通列車だと気が遠くなるほど時間が掛かるので特急を使ったが、通常料金が往復で一万円弱してしまう。どうにか安くならないかとネットで調べて、お得なくろしおSきっぷを最終的に購入。往復で7000円也。

高知から中村まで日帰り強行軍

日曜日の午前9時53分、特急南風1号に乗って高知駅を出発。1時間40分ほど揺られて、11時32分、中村駅に到着。駅前でレンタサイクル(600円)を借りて中村市街へと漕ぎ出す。暑い日だが曇っていたのは幸いだった。

中村小学校の校庭正面の並びにある「うえた」の店舗に到着したのはお昼前。ちなみに今回は臨時休業を避けるため、事前に電話で営業していることを確認した。営業時間は10:30くらいから。定休日を尋ねたら「7月・8月は火水」との答え。時期によって変わるようだ。

うえたおこのみ焼

入り口付近に自動車が複数台停まっている。噂通りの繁盛店らしい。客席は鉄板台が3卓と普通のテーブルが一つ。外で待ってる人も居たが、持ち帰り客だったので空いてる席に着席させて貰った。

お店は初老のご夫妻が二人で切り盛りしている。おっちゃんが接客とお好みのセッティング担当で、おばちゃんは鉄板で焼きそばを絶え間なく炒めていた。持ち帰りの注文が溜まっているらしく、両人ともてんてこまいだ。

うえたおこのみ焼 メニュー

メニューはお好み焼きと焼きそばのみ。お好み焼きも焼きそばも300円からと、かなり安く、どちらもほとんど偏りなく注文されてるようだった。おっちゃんに「焼きそばのミックス、普通サイズ(350円)で」と注文し、ワンカップのグラスにお冷を汲んで待つ。

店内で食べている先客は家族連れが一組だけ。全員がミックスのお好み焼きだ。肉とイカを先に炒めてから生地の器に一旦戻し、全体を混ぜてから改めて焼き上げていた。それがここのお作法なのだろうか、なんだか実に美味しそうだ。

「はい、焼きそばお待たせ」

しばらく待って焼きそばが運ばれてきた。おー、こちらも美味そう。

ミックス焼きそば 350円

具はキャベツとモヤシ、豚肉、イカ。青海苔や削り粉は掛かってないが、やや紫がかった紅生姜が脇に添えられている。そして特徴的なのが中太で平打ちストレートの茹で麺。しなやかでモチモチした歯応えの美味しい麺だ。スパイシーなソースと油で、しっとりした濃い目の味わいに仕上がっていて美味い。評判になるのも分かる焼きそばだった。

実は中村ではこの店も含めて合計3軒回ったのだが、どの店の焼きそばも同様の麺だった。後からWEBで調べたところ、どうやら中村にある「はまや製麺」で作られてる品で、地元のお好み焼き屋ではこれが定番らしいスーパーで小売もされているが、すぐ売り切れるほどの人気ぶりのようだ。

平打ちストレートの茹で麺と言えば黒石の焼きそばを思い出すが、もしかしたらこの焼きそばは他所に知られていない四万十独特の食文化かも知れない。とりあえず次回、この麺が使われている実例の2軒目をご紹介しよう。

うえたおこのみ焼

店舗情報TEL:0880-35-5465
住所:高知県四万十市中村京町2-37
営業時間:10:30くらいから
定休日:不定休
主なメニュー焼きそば
いか 300円 肉 300円 ミックス 350円
大盛 350円 大盛ミックス 450円

おこのみ焼
イカ玉 300円 肉玉 300円 エビ玉 300円
ミックス 350円 うえた焼 400円