揚子江菜館
1906年(明治39年)創業の揚子江菜館は神保町界隈で現存する最も古い中華料理店だ。冷やし中華の元祖として知っている人もいるだろう。こちらの創業者も維新號と同じく寧波出身。「神田中華組合」と「寧波同郷会」を創立し、初代会長に就任した。神保町周辺の華僑のリーダー的存在だったそうだ。
昨年8月末、日曜の15時過ぎに訪問。場所は神保町駅のA7出口からすぐ近く。すずらん通り沿いで餃子の老舗・スヰートポーヅの斜向かいに建つ細いビルが店舗だ。
京劇の化粧をした派手なお面はこちらの登録商標だとか。入り口に掲げられた額の「創業明治三十九年」という墨痕に歴史の重みを感じる。
一階はテーブル7卓。もちろん上の階もある。半分ほどの入りで一人客も二人いた。店内は適度な高級感で居心地も悪くない。壁には「天下第一味」の揮毫。チャイナドレスの小姐が置いた箸袋にも同じ文字が書かれていた。
さて、メニュー。焼きそばは『池波正太郎の大好物』上海式肉焼きそば(上海炒麺・1300円)と『栄養バランス満点』五目焼きそば(五色炒麺・1450円)の二種類があり、それぞれ軟らかい麺か硬い麺かを選べる。「上海”風”」ではなく「上海”式”」と名付けてある点も興味深い。(写真は店頭の看板で「上海焼きそば」という表記になっている)
「ご注文はお決まりですか?」
「上海式肉焼きそばの柔らかいのをください」
ちなみに池波正太郎はかなりの焼きそば好きで、ここ揚子江菜館の「上海式肉焼きそば」の他にも、銀座アスター、銀座楼蘭、有楽町・慶楽などあちこちで焼きそばを食べていたようだ。見習いたい。
注文した品は7分ほどで配膳された。麺は低加水の極細麺。表面に焼き目が付いていてパリパリだ。その上に具が山盛りになってる。
具は細切りの豚肉と豆と根を処理されたモヤシ、玉葱、木耳。肉絲炒麺の餡からトロミをなくしたような、中国本土や東南アジアでは見かけるが、日本では珍しいスタイルの焼きそばだ。
味付けは薄ら醤油系で、油脂の風味も相まったシンプルな美味しさ。案外ボリュームもある。酢を掛けても旨い。池波正太郎の味の好みが分かる気がする。
お会計の際に店員さんにちょっと質問してみた。
「硬い麺だと具にトロミが付くんですか? 」
「はい、上海と五目と二種類あって、硬い麺はトロミが付きます。柔らかい麺でもできますよ」
「そうですか、ありがとう」
今回の特集のために上海風焼きそばを十数軒食べ歩いたが、具と麺を混ぜ炒めていないのはこの店ぐらいだった。両面黄を意識したのだろうか。色々と興味深い。
続いては漢陽楼へ。
店舗情報 | TEL:03-3291-0218 住所:東京都千代田区神田神保町1-11-3 営業時間:11:30~22:00 定休日:無休 → ホームページ |
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主なメニュー | 上海式肉焼きそば(上海炒麺) 1300円 五目焼きそば(五色炒麺) 1450円 元祖冷し中華(五色涼拌麺) 1510円 |
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして
僕も焼きそばが大好きで美味しいお店を探し求めています。
揚子江は昭和30~40年代が一番お店が賑わっていて上海焼きそばから全て美味しかったです。
今の味は残念です。
世田谷、上野毛にある鴻龍の五目焼きそばが麺が細く美味しいですよ。一度食べてみてください
mkさん、コメントありがとうございます。
そう聞くと、当時の味を食べてみたくなりますね。
鴻龍さんの情報もありがとうございます。
ブックマークしておきます。
今後ともどうぞよろしくお願いします!