てんこう 裏参道店
札幌市街中心部の西の端に位置する円山公園には、蝦夷地一ノ宮とも称せられる北海道神宮が隣接している。名前の通り北海道を代表する神社で、初詣では大変な人出になるそうだ。また境内では六花亭の売店があり、ここでしか売られていない「判官さま」という焼餅が食べられる。
その北海道神宮には表参道=北1条通りとは別に、南1条通り、通称・裏参道と呼ばれる参道がある。この裏参道はカフェやレストランなど札幌でもお洒落な店が集まるエリアとして注目されているらしい。その裏参道に、2015年12月5日にオープンしたのが、今回紹介するあんかけ焼きそば専門店「てんこう」だ。
訪れたのは北海道3日目、STV「どさんこワイド」のロケが行われた日のこと。19:15くらいに着いてみたら看板の灯りが消えていた。中にお客さんがいるので、ドアを開けて「まだ大丈夫ですか?」と訊いてみると、長身の若い店主が「はい、どうぞ」と答えてくれた。なお、外観写真は帰りがけにお願いして灯りをつけてもらったもの。ありがとうございます。
客席は厨房に面したL字型のカウンターで7席。前述の通り、先客が一人。卓上には酢と醤油が置かれている。シックな印象の落ち着いた雰囲気の店だ。店主も中華料理のシェフ=厨師の服を着て、きちんとしている。
メニューはごくシンプル。焼きそばは五目焼きそば(900円)、豚肉焼きそば(900円)、エビ焼きそば(1200円)の三種があり、エビだけ塩味で少し高い。初めてなので、無難に五目焼きそば(900円)を注文してみた。
店主が2つの中華鍋を使い、片方で麺を焼く。もう一方では食材を油通ししてから、餡を作る。ひとつひとつの手順が予想以上に洗練されている。盛り付けて出来上がり。
麺は中細で、表面がカリッと焼かれている。トングで解しながら調理・盛り付けしてあるので、一口ずつが取り分けやすく、食べやすい。
餡は醤油ベースで、生姜とゴマ油の風味が香る。具は豚肉、ハム、イカ、エビ、アスパラ、白菜、キクラゲ。油通しの加減が絶妙だ。肉もイカも柔らかく、エビはとろける甘さだった。こりゃあ、エビ焼きそばは絶品に違いない。
焼きそばと一緒に紅生姜とカラシも出してくれたので、皿の端に添えてみた。味変も楽しい。それにしても期待以上のレベルの高さで、正直びっくりした。実はこの日の昼のロケでは、三八飯店の白石店であんかけ焼きそばを食べたばかり。あちらはあちらでとても美味しかったのだが、それとは全く異なる方向性なのが面白い。
不躾ながら、「どこかでちゃんと中華料理を修行したのですか?」と店主に尋ねてみたら、お父さんが料理人で、かつては横浜中華街の高級店で働いておられたそうだ。ピシッとした服装含め、厨師としての基礎はそのお父さん譲りなのだろう。読者からの情報によると、現在お父様は札幌市平岸で中華ハウス天紅というお店を営まれているとか。屋号の「てんこう」もそちらがルーツで、そのため「裏参道店」とついているらしい。
※その後、読者から情報提供があり、お父様は現在、札幌市平岸で中華ハウス天紅というお店を営まれているとか。屋号の「てんこう」もそちらがルーツで、そのため「裏参道店」とされているらしい。
もっとメニューを増やしたいが、何しろ一人なのでとのこと。一流中華料理店からあんかけ焼きそばだけを取り出した、そんな印象を受けた。まだオープンして2年目だが、札幌近辺の焼きそば好きはぜひ一度味わってみて欲しいなあ。
店舗情報 | TEL: 011-632-5131 住所: 北海道札幌市中央区南1条西22-2-23 ケイキ円山 1F 営業時間: 11:30~20:00 |
---|---|
主なメニュー | 五目焼きそば 900円 豚肉焼きそば 900円 海老焼きそば 1200円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません