新台北 下北沢本店

2022年10月11日

下北沢に新台北という台湾屋台料理の店がある。場所は本多劇場の真正面、派手な外観でよく目立つ。午前2時まで営業しているので、きっと舞台関係者の打ち上げなどでも使われていることだろう。

新台北 下北沢本店 外観

2月上旬、その新台北で一人飲みしてみた。訪れたのは平日の18:30ごろ。店内は夜市の屋台を彷彿とさせる雰囲気だ。客席はカウンターが4席、テーブル8卓で、3分の1ほどの入りだった。

新台北 下北沢本店 店内

一人ということでカウンターに着席し、酒とつまみを吟味した。まず飲み物は台湾ビール(600円)だ。南国のビールに多いライトな飲み口である。

干扁四季豆(カンペンシキトウ)850円

おつまみは干扁四季豆(カンペンシキトウ/850円)=さやいんげんの挽肉炒め。熱々で、いんげんの自然な甘味にキュキュッと鳴る食感、挽肉の濃い味付けが合う。レンゲ付で食べやすい。

炒生腸(ツァーセータァン)750円

ペロリと平らげて、次は甕出し紹興酒(グラス550円)。ビアタンブラーで出されると麦茶みたいだな。つまみは炒生腸(ツァーセータァン/750円)。豚肉のこぶくろ炒めだ。ニンニクを効かせつつも刻みネギたっぷりで甘い。こぶくろが柔らかく、レンゲでガバっと頬張って、紹興酒をグビっと煽る。うーん、美味い。

花枝丸(フエキワン)700円

調子が出てきて、シークワーサーサワー(500円)を注文。カッコ書きで「台湾産ヒラミレモンのサワー」とも書かれている。合わせるのは花枝丸(フエキワン/700円)。イカのすり身の揚げ団子だ。熱々でプリプリ。少しはみ出たゲソが、よーく揚がって歯応え満点。キラキラした魔法の粉が添えられ、それをつけると旨さ倍増だ。

新台北 下北沢本店 メニューの一部

締めは炒麺(ツァーミィ/850円)。「チャーメン」でも「チャオミン」でもない、台湾語の「ツァーミー」という読み方が振られている。「台湾風の焼きそばで、大変人気があります」との説明書き。焼きビーフンか迷ったが、今回はこちらを選択した。

炒麺(ツァーミィ) 850円

でてきたのは野菜たっぷりの混ぜ炒め麺だ。麺は中太の角麺でモチモチした食感。具は細切りの豚肉に干しエビ、干し椎茸、モヤシ、キャベツ、ニラ、人参が使われている。味付けは醤油ベースで、油脂のコクや具材の旨味が加わっている。

中太の角麺にたっぷりの野菜

しっとりした仕上がりで、食べ進めると皿の底には水分が溜まっていた。日本の家庭でソース焼きそばを作る際は、水分でベチャベチャになるのはあまりよろしくないとされるが、台湾の炒麺は逆にベチャベチャのほうが好まれるらしい。

皿の底には水分が溜まっていた

昨年12月、RecordChinaで『台湾の焼きそばはなぜ日本と違いべちゃべちゃ? 台湾ネット民「べちゃべちゃの方がウマい!」』と題した記事が報じられた。もともとは台湾のNOWnewsというサイトの記事を翻訳し転載した記事だ。

その記事で触れられているように、台湾の「炒麵」を調べてみると、つゆだくの割合が多い。下はピックアップしたそれらの写真だ。もちろんそうでない炒麵もあるが、概ねしっとりしているように見える。

台湾の炒麵の検索結果

また、私が台湾で購入したレシピ本の一冊『百款好麵:涼、拌、湯、炒、一次學會!』に載っている台式炒麵2種も、サンプル写真はつゆだくだ。

台湾の炒麵の検索結果

前回の記事で、「つゆだくな焼きそば自体は、そんなに珍しくない」と書いたが、中華系のつゆだく焼きそばの一部は、こうした台湾風の焼きそばにルーツがあるのでは、と考えている。コロナが収束したら確認がてら現地を食べ歩きしてみたい。

そんな未来に思いを馳せつつ、炒麺を食べ終えてお会計は5280円。一人飲みにしては散財してしまったが、酒も肴も文句なし。満足して店を出た。現地の味を手軽に楽しめる、飲兵衛好みの店だった。再訪して他のメニューも試したいなあ。

店舗情報住所: 東京都世田谷区北沢2-6-5 ルイビル 1F
営業時間: 平日: 17:00~翌2:00(L.O.翌1:00)
土日祝: 11:30~翌2:00(L.O.翌1:00)
定休日: 無休
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主なメニュー炒麺(ツァーミィ) 850円