中華料理 龍門

土曜日に六本木の新店・千日前やきそばを号外的に紹介しましたけど、本編は先週に続いて今夏の関西食べ歩き特集です!


大阪ではカタ焼きそばのことを「フライ麺(めん)」と呼ぶ店が多い。特に古い大衆中華店では、その傾向があるようだ。関西滞在4日目のランチは、そのフライ麺を食べに北浜の中華料理店、創業30年という龍門へ足を運んでみた。

北浜 中華料理 龍門

訪れたのは8月中旬、平日の11時半ごろ。蔦に覆われた青山ビルは大正時代に建てられた国登録有形文化財。その建物に入ってすぐ右手、地下に降りるめっちゃ狭い階段が龍門の入り口だ。登龍門ならぬ降龍門である。最後の一段だけ高さが違ってて、コケそうになった。訪れる際はご注意を。

登龍門ならぬ降龍門

店内は入り組んだ作りで奥の方までテーブルがある。テレビ前の4人掛けテーブルへと促され、相席で着席。ちょうどリオ五輪の開催中で競泳男子の800mリレー決勝が中継されていた。店員の姑娘たちはそちらが気になって落ち着かない様子である。

中華料理 龍門 メニュー

メニューはテーブルに無く、壁に貼られていた。こちらの店は天津カレー炒飯(790円)なる品が一番人気らしく、それに続いて焼きそば(690円)=あんかけ五目焼きそばも良く出ているようだ。しかし冒頭で述べた通り今回の目的はフライ麺(690円)。天津カレー炒飯も五目焼きそばも気になったが、予定通りそのフライ麺を注文した。

フライ麺 690円

先にスープが出され、注文から5分も掛からずにフライ麺も運ばれてきた。麺は太めの揚げ麺。普通の五目焼きそばは中細麺だったが、揚げるとこの太さになるのだろうか? 餡はかなり甘めの醤油餡。具は牛肉・白菜・玉ねぎ・人参・きくらげ・たけのこ。

かなり甘めの醤油餡です

揚げた麺は嵩が増えるため、実際以上にボリュームを感じる。餡の粘度はそんなに高くないが、水分自体が少なめで、麺は最後までカリカリのままだった。肉はごくわずかだけど、この値段だし、野菜がたっぷり使われているので不満は全くない。

揚げ麺は最後までパリパリのまま

付け合せのスープはかき玉子のスープで、賽の目に刻まれた絹豆腐も入っていた。ゴマ油が薫る熱々トロミつき。ちょうど良い塩梅で、手ごろな箸休めになる。餡が甘いため、卓上の酢を掛けて途中で味変もしてみた。甘さが多少和らいで、最後まで飽きずに食べることができた。五目餡もこの甘い餡だろうけど、やはり酢や辛子がほしくなるだろうな。

つけあわせのかき玉スープも美味しい

ところで、なぜ大阪でフライ麺と呼ぶようになったのか。これは勝手な想像だが、大阪の中華料理業界は神戸の中華街から伝わった福建系の混ぜ焼きそばが主流で、後発のカタ焼きそばはそれと明確に区別するために「フライ麺」と呼ぶようになったのではなかろうか。ちょうど広東料理がベースの横浜周辺で、あんかけ焼きそばが「やきそば」として先に広まり、混ぜ焼きそばは「チャーメン」と呼ばれるようになったのと逆の現象だ。以上は個人的な意見に過ぎないのだが、どの店が最初にフライ麺と呼び始めたのか、気になるところではある。

伝票には「炸麺」の文字

ちなみに伝票には「フライ麺」ではなく「炸麺(炸面)」と書かれていた。日本の辞書では「麺を油で揚げた中国料理の総称」とされていて、この表記を採用している中華料理店も多い。しかし中国では「麺(面)」が小麦粉の生地を指すため、あちらの検索エンジン=百度(baidu)で「炸麺(炸面)」を検索すると、ドーナツ系の揚げ菓子ばかりでてくる。フライ麺と同様にこの「炸麺」という表記もどのあたりから始まったのか気になって仕方ない。

日本チームの銅メダル獲得を確認してお会計。暑い日に熱々のカタ焼きそばを食べたので、外へ出たらすぐ汗だくになった。今度来るときは龍門名物の天津カレー炒飯を食べてみたいなー。

中国料理 龍門

店舗情報TEL: 06-6203-7870
住所: 大阪府大阪市中央区伏見町2-2-6 青山ビル B1F
営業時間: 11:00~14:30 17:00~22:00
定休日: 土・日・祝日
主なメニューフライ麺 690円
やきそば 690円

天津カレー炒飯 790円
ラーメン 540円