松屋甘味店
板橋区が誇る巨大商店街・ハッピーロード大山に、松屋甘味店という甘味処がある。昭和20年(1945年)創業らしいので、今年で67年目か。地元に長年愛されてきた店で、アド街っく天国の大山の回でも紹介されたそうだ。大学芋が名物だが、店内では焼きそばやあんみつ、お汁粉なども食べられる。
訪れたのは6月中旬、土曜日の昼過ぎ。大山は20年も前に一度だけ来ただけだから、ほとんど初めてと言っても良いだろう。物珍しくて大山駅から川越街道までアーケードを一往復してみたが、随分とパチンコ屋が多い。立ち食い蕎麦屋が評判だった記憶があるが、今日の目的は焼きそばなので我慢我慢。
さて、大山駅の近くまで戻って、いよいよ松屋甘味店へ。店頭のケースには大学芋が大・小のパックに詰められて並んでいる。
大700円、小350円。これがしばしば売り切れるほど人気らしい。入り口の右側には心太や焼きそば用の麺なども並んでいた。
店内へ入ると右手に厨房があり、左側が客席で4人掛けテーブルが6つほど並んでいた。女性の店員さんが二人、一番奥のテーブルで丁度お昼を食べていた。他には男性客が一人、常連さんらしく店員さんたちと話をしている。店舗そのものは時代を感じさせる造りだが小奇麗な印象を受けた。
「いらっしゃいませ」
店員さんの一人が箸を置いて、お冷を持ってきてくれた。その間に壁のメニューをざっと眺める。
食事と呼べそうなのは焼きそばのみで、あとは安倍川・磯辺・雑煮・汁粉の餅関係と甘味・ジュースの類で、コーヒーも無い。焼きそばは小が370円、大が550円となっている。
「お決まりですか?」
「えっと、焼きそばをひとつ」
「大きさは普通(小・370円)で?」
「はい、あ、あと大学芋(350円)も」
もう一人の女性が店主なのだろうか、立ち上がって焼きそばの調理に取り掛かり始めた。その間、注文を取った店員さんは表のケースの大学芋を皿に移して黒胡麻を振り掛け、煎茶と一緒に持ってきてくれた。
外側はカリッとした歯応えで砂糖が良い具合に滲みている。薩摩芋自体の甘さを生かした、程よい味付けだ。黒胡麻も香ばしい。ただ、さすがに一人では量が多く、後半はちょっと食べ飽きてしまった。大学芋をあらかた平らげた頃に焼きそばも出来上がった。口直しに煎茶を啜って、さて、いただこう。
麺は中太でややコシがある。外で売られていたのと同じ麺だろう。具はキャベツのみで、刻み海苔がトッピングされ、紅生姜が脇に添えられている。ソースはマイルドな味わいで、化学調味料なのか、旨味が前面に出た味付けだ。頗るシンプルだが素朴で美味しい焼きそばである。焼きそば自体のボリュームはほどほどだったが、先に食べた大学芋との併せ技で腹はくちくなった。
実は今更だが私はそれほど甘いものが好きなわけではなく、大学芋をわざわざ注文して食べるのもこの日が初めてだった。普通に持ち帰って家で食べた方が商店街の名前通りハッピーになれたかも知れないが、まあ、面白い経験をしたってことで結果オーライ。今度訪れる機会があれば、外で売っている焼きそばの麺を買ってみたい。
店舗情報 | TEL:03-3956-5072 住所:東京都板橋区大山町6-8 営業時間:10:00~20:00 定休日:火曜日 |
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主なメニュー | 大学芋 小350円 大700円 焼きそば 小370円 大550円 あべ川、いそべ、おしるこ、おぞうに 400円 みつ豆、あんみつ 400円 |
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