山西亭
新大久保の明治通り沿いに山西亭という店がある。この記事によるとオープンしたのは今年の1月末らしい。「麺食のふるさと」とも呼ばれる山西省の郷土料理が食べられる日本では貴重な店だ。
初めて訪れたのは5月上旬、GWのお昼時。店舗はマンションの地下一階にある。明治通りの刀削麺の看板が目印だ。斜向かいにも祥龍房・刀削麺荘という刀削麺の店があるけど間違えないように。
客席はフロアにテーブルが5卓、奥に個室的なスペースもあるようだ。テーブルは赤いクロスで覆われ、壁には風光明媚な山西省の景色が引き伸ばされている。にこやかな小姐に促されてテーブルに着席。
ランチメニューは刀削麺が主体だ。それとは別に山西省の郷土料理のメニューもある。もちろん自分の目的はこちら。
「この莜麺魚魚(ヨウミェンユィーユィー・850円)はありますか?」
「はい、あります」
「ではそれを」
日本語表記は「莜麺 焼きそば」。莜麺は燕麦(オートミール)の一種=莜麦を使った麺のこと。普通の麺と同じ長細いものや、筒状にしたのを並べて蒸したものなど色んなタイプがあるらしい。
この莜麺魚魚(莜面鱼鱼)は短く太く、端は細くなっている麺だ。この動画によると生地の小片を掌で錐揉みして成型するらしい。まさにシラウオやドジョウなどの魚を思わせる形状だ。燕麦の特徴なのか分からないけど、コシはなくもっちりしている。
具は豚肉・にんにくの芽・モヤシ・人参・木耳。ニンニクと唐辛子、醤油などで味付けされている。山西名物の黒酢なのか酸味もあるが刺激的というほどではなし。日本人好みの乙な味だ。焼きうどん的。ボリュームは軽め。これなら二品いけるな。
スープとお新香はサービスしてくれた。ランチメニュー以外は外税ってことで会計は918円也。
そして日を改め5月中旬、一人飲みで再訪。山西風味鶏(800円)を肴に生ビール(450円)や紹興酒のボトル(1380円)をグビグビ飲んだ。
この日の一番の目的は不烂子(プランズ・750円)という「ジャガイモ入り蒸し麺の焼きそば」。これも作り方が分かる動画を探してみた。ニンジンシリシリに使うような道具でジャガイモを薄く長く削り、小麦粉を塗して蒸す。それを麺代わりに使うらしい。
味付けは唐辛子とニンニクでシンプルに。ジャガイモの風味でフライドポテトぽくもある。中国本土の焼きそばの世界は奥深い。果たしてどこまでが焼きそばなのやら悩んでしまう。
山西省出身の若いお客さんからおすそ分けをいただいたりして、この日のお会計は3600円ほど。店員と客の間で中国語が飛び交うが、とてもフレンドリーで良い雰囲気の店だ。個人的にかなり気に入った。青島ビールは1本350円と安いので、今度はそれにしようっと。
6月上旬、3度目の訪問。この日は青島ビールと莜麺栲栳栳(ヨウミェンカオラオラオ・莜麦:燕麦のせいろ蒸し麺)、過油肉(グオヨウロウ・豚肉と五目野菜の香酢炒め)、そして面皮(麺皮・ミェンピー)をいただいた。
莜麺栲栳栳は莜麺を筒状にして蜂の巣状に並べて蒸篭で蒸したもの。これを黒酢やトマトベースのタレに付けて食べる。これも麺の一種というのだから、もうわけが分からない。
過油肉は豚肉と野菜の炒め物。普通の肉野菜炒めっぽく見えるが肉はとても柔らかく、味付けも山西省特産の黒酢がメイン。独特な味わいで美味しい。
面皮も麺の一種で山西省の郷土料理。作るのにとても手間がかかるらしく、メニューには載ってない。この日はたまたまこの面皮を予約した人がいて、品切れだった炒蕎麦灌腸の代わりに勧められた。プルプルモチモチの独特な食感。ピリ辛で酸味の利いたタレとも合う。
来るたびに本場の「麺」の奥深さを感じてしまう。ボトルを入れてしまったので近いうちにまた行かねば。
店舗情報 | TEL:03-3202-7808 住所:東京都新宿区大久保2-6-10 B1F 営業時間:11:00~15:00 17:30~22:30 定休日:日曜日(予約のみ営業) |
---|---|
主なメニュー | 莜麺魚魚(ヨウミェンユィーユィー) 850円 不烂子(プランズ) 750円 莜麺栲栳栳(ヨウミェンカオラオラオ) 580円 山西風味鶏 850円 過油肉(グオヨウロウ) 880円 生ビール 450円 青島ビール 350円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません