お好み焼 はやと

前回のお好み焼しんちゃんを出て、音戸を少しだけ散策して帰りのバスに乗った。倉橋島から呉市街に戻ったのは11時半近くだった。呉へは何度か来ているが、2012年に居酒屋礼賛の浜田信朗さんに案内していただいて以来、この街にはとても親近感を抱いている。

呉市 お好み焼 はやと

この日、呉で立ち寄ったのは広島風お好み焼きを謳う「はやと」というお店。本通四丁目の交差点から脇道を入ってすぐに店舗を発見。こじんまりした昔ながらのお好み屋さんという風情だ。店頭のコンテナ付きスクーターは配達用か。そういえば広島ではお好み焼の出前が一般的なんだった。

はやと 店内の様子

店内へ入ると左に大きな鉄板が設えてあり。右に小上がり席があった。壁は「海猿」をはじめとする映画のポスターや出演者のサインやらで埋め尽くされている。あとで知ったが、呉でなにか撮影があるたび、撮影前に新人が挨拶に来るような名物店らしい。

店員は店主らしきおっちゃんとガタイのいいお兄さんの二人。この店主が呉近郊の観光スポットや戦時中の海軍に関するエピソードにもとても詳しく、呉の見どころを細々と教えていただいた。呉観光の前にここで食事すると幸せになれるかも知れない。一方のお兄さんは出前の待機中なのか奥の方に腰掛けていて終始無言だった。えらく対照的である。

お好み焼 はやと メニュー

鉄板前に着席して、メニューを確認。お好み焼中心の品揃えだが、目当てはそれではなく「汁焼きそば(800円)」だ。つい先ほど音戸で「焼きそばラーメン」を食べたばかりだが、呉市街のこの店にも、どうやら似たような品があるらしいのだ。注文を受けて、おっちゃんが調理を始めた。

汁やきそば 調理の様子

鉄板の上手に千切りキャベツと細もやしを置き、揚げ玉をパラリ。さらに麺を置き、削り粉をたっぷり掛けた。下手に豚肉を広げて生地を少し垂らし、胡椒を振りかけて焼く。頃合いを見て豚肉をひっくり返して裏面も焼き、コテで一口大に切り分け。その一方で麺をほぐしながら野菜と一緒に混ぜ炒め始めた。

焼きそばに味はつけません

ここからソースで味付けすれば普通の焼きそばなのだろうが、そうはせず。前回しんちゃん焼きそばラーメンと同じく、ソースでの味付けはしないのがここの流儀なのだ。ラーメン丼に味なし焼きそばを盛り、熱々のスープを注ぎ、豚肉と青ネギをトッピングして出来上がり。

汁焼きそば 800円

麺はオレンジの袋に入った蒸し麺だった。程よい焦げ目がついていて香ばしい。味付けなしだと麺のクォリティが前面に出る。普通の焼きそば以上に美味しい麺でなければ成立しなさそうだ。スープは呉のラーメンでおなじみのタイプか。浜田さんと「一二三(いちにいさん)」で食べた豚骨醤油スープと同系統な気がする。

麺の焼き加減も絶妙

麺の焼き加減、揚げ玉と削り粉、加熱された野菜の甘み、シャキシャキもやしにクッタリキャベツ。「しんちゃん」も「はやと」も、広島のお好み焼きの特徴そのままなのが面白い。そしてこの店で特筆すべきは豚肉だった。垂らした生地が豚天の衣のように焼き上げられ、スープを吸収している。旨さ倍増。お好みの生地にはこういう使い方があったんだなあ。

豚肉と生地が合うこと合うこと

ソースを使わず焼き上げても、旨味たっぷりのスープが麺をしっかり受け止めてくれる。それも呉のラーメン文化があってこそか。お好みとラーメンのいいとこ取りした汁焼きそば。たった2店舗だけしか確認できていないけど興味深い食文化だよなあ。呉に行かれた際はぜひ一杯どうぞ。

お好み焼 はやと

店舗情報TEL: 0823-24-4488
住所: 広島県呉市本通り4-9-23 三信ビル1F
営業時間: 11:30~14:00 17:30~24:00
定休日:月曜
主なメニュー汁焼きそば 800円

お好みそば・うどん 700円
焼きそば・うどん 600円
スペシャル 1100円