米沢屋
今回からある程度テーマを決めてご紹介したいと思います。まずはソースを後から掛けるタイプの焼きそば店。これまでも幾つかご紹介しましたが全国には数多く点在しているのです。
酒田市街地中心部の羽州浜街道沿いに、米沢屋というあとがけ焼きそばの専門店がある。左隣には三日月軒というラーメン屋があって、どちらも酒田市民に人気の店だ。
七月上旬の平日、12時過ぎに訪問。庄内平野の夏といえばフェーン現象がつきものだ。この日もとても暑い日だった。
カウンター席は5脚、テーブル2卓、小上がり1卓。調理用の鉄板台は通りに面したガラス張りで、外からも見えるようになってる。店員はふくよかなおばちゃん2人で、一人が調理、一人が出前担当らしい。調理担当が出来上がった焼きそばをラップで包み、もう一人が岡持ちに入れて車で出掛けていった。他にも持ち帰りの注文がいくつか入っているのだろう、先客は2人だけだったが忙しそうだ。この暑さの中、焼きそばを鉄板で炒め続けるのはずいぶんとしんどいだろうに。
カウンターに腰掛けてまずは自分でお冷を注いで一息ついた。その後改めて壁のメニューを確認。最も安いのは焼きそば大盛、焼きそば肉入(小)、焼きそば玉子入(小)で、それぞれ480円。玉子、肉、大盛はそれぞれ50円増し、いかは100増しという料金体系のようだ。オプション無しの焼きそばは記載されてなかったが、あるとすれば430円か。
検討の結果、いか肉焼きそば(小)630円を厨房のおばちゃんに注文。待ってる間に新規客も次々入ってきた。さすが人気店だ。しばらくして、お店のロゴが入った白い皿に盛られて焼きそば登場。「こちらのソースを掛けてくださいね」と卓上のソースを渡された。
麺は中太でコシがあり、焦げ目もちゃんとついている。味付けがほとんどされてないので色は白いまま。量はほどほどといったところ。普通の男性だと小盛では足りないかも知れない。具はざく切りキャベツと、見た目では分かりづらいが揚げ玉も使われている。オプションのいかと肉は別に焼かれて麺の上に乗せられ、さらに刻んだ海苔と紅生姜がトッピングされていた。いろいろな点で個性的な焼きそばである。
あとがけソースを味見してみると割と辛目だった。加減が難しいので最初は慎重に、慣れてからどばっと掛けて食べてみる。ふむふむ、これは美味い。コシのある中太麺に辛めのソースが絡まって癖になる味だ。最初から味付けされているよりも麺の風味が味わえる。オプションの肉はロースだろうか、歯応えがあって旨味も十分だ。付け合せにワカメスープも出してくれた。シンプルだがこれも嬉しい。
この店でソースを後掛けにするようになった経緯については、こちらに興味深い記事があった。
昔のソースは美味しかった それはチクロがふくまれていて後味がよかったからと。しかし火を通すと、逆に味がわるくなるので、最後にかけるようにしたとの事。
加熱すると味が悪くなるのはチクロではなくサッカリンらしいが、いずれにせよ人工甘味料を使ったソースしか手に入らなかった時代の創意工夫から始まったのだろう。中公新書『ヤミ市 幻のガイドブック』でも、ソースを客が後から掛ける焼きそばの記述があった。今では口にすることの出来ないチクロのソース。相当美味しかったようなので一度だけでも味わってみたいものだ。発がん性も否定されたことだし復活してくれないかなあ。
配達担当のおばちゃんが戻ってきたところでお勘定。っと、すぐまた忙しそうに岡持ちを携えて出ていった。この暑さの中、調理も配達もほんとご苦労様です。
店舗情報 | 米沢屋 TEL:0234-22-3105 住所:山形県酒田市中町2-4-7 営業時間:11:00~19:00 定休日:木曜日 |
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主なメニュー | 焼きそば大盛 480円 肉入 小480円 大530円 特大630円 玉子入 小480円 大530円 特大630円 肉玉子入 小530円 大580円 特大680円 いか 小580円 大630円 特大680円 いか肉 小630円 大680円 特大730円 いか玉子 小630円 大680円 特大730円 いか肉玉子 小680円 大730円 特大780円 |
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