多け乃食堂

2014年3月23日

大衆酒場の焼きそば特集も4週間目。まだまだ続きます。


築地場外市場の外れに多け乃食堂という店がある。午前11時から営業していて、美味しい肴で昼から呑むには持ってこいのお店。仕事上がりの市場関係者に愛用されているらしい。

築地場外市場 多け乃食堂

訪れたのは2月上旬、平日の昼過ぎ。築地本願寺から場外市場を経て路地の看板を発見。積まれたビールケースで入り口が分かりにくくなっている。

「いらっしゃいませ」

暖簾を潜ると3つあるテーブルのうち、2つが先客で埋まっていたがカウンターは無人。いつも混雑して相席も当たり前と聞いていたのだが意外なほど空いている。後で知ったのだが、この日は築地の休市日。雪混じりの雨という悪天で、普段以上に市場の客も少なかったのだろう。空きテーブルもあったが一人ということでカウンターに通された。お店は家族経営らしく、6~7人の老若男女で切り盛りしている。今日は客が少なくて暇そうだ。

多け乃食堂 メニュー

メニューは壁にびっしり貼られているが、定食など食事以外はほとんど値段が書かれていない。いわゆる時価である。安さが売りの店では無いが、ま、極端に高いという訳でも無い。単品料理は800円から1000円くらいと見込んでおけば良いだろう。とりあえず瓶ビールと寒ブリ刺、カキフライを注文。

「ビールはアサヒとキリンがありますが」
「キリンで」

ちなみに私のビールの好みはサッポロ>キリン>アサヒ>サントリーという順序。エビスやハートランドは別枠で。ただ、キリンがグループ本社を中野に移すので、今後はキリンを贔屓してしまうかも知れない。

寒ブリ刺身

しばらく待って寒ブリ刺がやってきた。脂が乗っていることも考慮して、薄めに切られている。ワサビを溶いた醤油で一口。うん、旨い。文句なし。「脂」はやっぱり「旨い肉(月)」なんだなあ、と妙なことに感心する。

続いてカキフライ。これがこの店の名物になっていて、他の客も皆注文していた。一つ一つが鶏卵ほどの大きさで、一つ辺り2~3個分のカキが使われているそうだ。

名物のカキフライ

衣がカリカリになるまで揚げられているが中はトロトロ。旨味たっぷりの汁が溢れる。二つはソースで、残りは醤油でいただいた。

ビールが無くなり、次の酒で悩む。日本酒に行きたいが純米酒は四合瓶、冷酒は300mlしかない。

「すみません、燗酒は二合からですか?」
「いえ、一合から大丈夫ですよ」
「じゃ、燗酒一合ください」
「はい、小徳利いっちょーっ!」

富翁の燗酒と子持ちヤリイカの煮付

ついでに注文したのが子持ちヤリイカの煮付け。小ぶりだがモチモチした玉子がギュッと詰まっている。程よい煮加減で柔らかく美味しい。燗酒=富翁のすっきりした飲み口にも合う。

最後の〆にソース焼きそばを注文。これは420円と値段が明記されている。蒸し麺をフライパンでじっくり焼いて具材と炒め、ソースで味付けして出来上がり。

ソース焼きそば 420円

麺はコシのある細麺。具は豚肉にキャベツ、モヤシ。そして青海苔のトッピング。ソースによる味付けはあっさり気味だが、麺が深蒸しだったり、肉に下味がついていたり、物足りなさは無い。シンプルだが美味しい焼きそばだ。サワーを呑みたくなったがメニューに無いのであきらめた。

食べ終えてお会計は4250円。うーん、やはり安くはないな……が、まあ、予想範囲内ではある。定食+瓶ビール、それで足りなければもう一品。今度来るときはそんな注文にしてみよう。

多け乃食堂

店舗情報TEL:03-3541-8698
住所:東京都中央区築地6-21-2
営業時間:11:00~21:00(土~20:00)
定休日:日曜日、祝日
主なメニューソース焼きそば 420円
カキフライ定食 1040円