吉昇亭
新年あけましておめでとうございます。今年もマイペースでやっていきます。
長野県には、あんかけ焼きそばが地域の食文化として根付いている。特に上田市の福昇亭・日昌亭の焼きそばは見た目も味も独自性に富んでいて、ファンが多い。
その焼きそばに魅了された方が、2022年に吉祥寺で専門店をオープンした。屋号は「吉昇亭」。店舗の所在地と味のルーツを融合した命名で、上手いなあ。
吉昇亭を訪問したのは12月上旬、週末のランチ時。吉祥寺駅から井の頭自然文化園へ向かうと、吉祥寺通り沿いの左手に現れる。
店頭の券売機で食券を購入し、ホール担当のスタッフさんに渡す。焼きそばの並盛とワンタンスープのセット(1300円)。さらにビール小瓶(500円)と極太めんま(350円)もお願いした。
店は奥に長く、左手の厨房とそれに面したカウンター席という造りだ。手前の席が埋まっていたので、奥の方へと促された。カウンターに置かれたメニューの裏面で、上田の焼きそば文化が紹介されていた。真田家の家紋に因んで「六文銭焼きそば」を謳っている。
メンマを肴にビールを飲みながら、調理の様子を眺める。両手中華鍋にラードを引き、炊飯器で保温・保湿した麺を入れて、じっくり焼く。上田でも見た光景だ。
時々鍋を両手で掴み、グルグル回したり、麺を煽ってひっくり返したり。ほどよく焼けたら器に移し、皿に広げて別に調理しておいた餡を掛ける。あれこれトッピングして出来上がり。少しあとからワンタンも添えられた。
麺はカリッと焼かれた細縮れ麺。店主さんに伺ったところ、三河屋製麺の特注麺を自家蒸ししているそうだ。トッピングは錦糸玉子にグリンピース、チャーシュー。この彩りが懐かしい。
餡は甘めでキャベツと玉ねぎ、キクラゲがトロットロになっている。麺と絡めてひとくち頬張ると、福昇亭・日昌亭の思い出が脳裏に浮かんだ。ハイレベルな再現度で、めっちゃウメーン!
カウンターには長野でおなじみのからし酢も用意されている。さらに自分で作りたい人向けに辛子と酢と混ぜる容器もある。からし酢にこだわる上田市民に応えるため、わざわざ用意しているそうだ。
ワンタンも丁寧に作られている。スープの味わいも滋味深い。店主さんの上田愛をひしひしと感じる一皿だ。上田に行かなくとも、東京で味わえるとは嬉しいなあ。
麺は特注なので、おそらくかなり割高だろう。しかも自家蒸しで、トッピング類やワンタンの仕込みの手間も掛かる。焼きそばは単品で900円からという価格設定だが、この場所でホールスタッフも二人いたし、この値段は儲けが出せるギリギリのラインなんだろうな。
未体験の方はぜひ訪問してみてほしい。そしてもし気に入ったのなら、上田の福昇亭・日昌亭にも足を伸ばしてもらえたら、嬉しく思う。
店舗情報 | 住所: 東京都武蔵野市御殿山1-3-7 営業時間: 11:00~15:00, 17:00~22:00 定休日: 火曜 → ホームページ |
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主なメニュー | 焼きそば 900円~ |
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