岐阜屋
長野県北佐久郡御代田町。軽井沢の西に位置するこの高原に岐阜屋という中華屋さんがある。
屋号を聞いて、新宿・思い出横丁の岐阜屋をご存知の方は「ん?」と思ったかも知れない。遠く離れた二軒の岐阜屋には、実は意外な繋がりがある。
御代田の岐阜屋を訪れたのは今年の5月下旬のことだった。県道137号線沿いに掲げられている中華料理の看板が目印だ。平屋建ての鄙びた店舗はちょっと入り難い雰囲気だが臆することなく暖簾を潜る。「ごめんくださーい」と声を掛けると、「いらっしゃいませ」と奥から年老いた女将さんが現れた。
客席はテーブル1卓に小上がり2卓、奥には座敷もある。日曜日の昼前でまだ開店して間もない時間帯だ。普段は地元の人で繁盛しているらしいが、さすがにまだ先客は居ない。とりあえず手近な小上がりに着席。
メニューが壁に貼られていたがどれもこれも安い。ラーメンは350円、チャーハンが400円。最も高いカツラーメンでも550円だ。注文した揚げ焼きそばも450円という安さ。ワンコインでお釣りが来てしまう。
ところで実はこの女将さんの旦那さん(故人)がかつて新宿の岐阜屋で働いていたらしい。屋号もそこから取っているそうな。
壁に貼られていた新聞記事によると、岐阜県出身の旦那さんが同郷の友達が始めた店を手伝い、当時の常連だった女性=この女将さんと結婚。女将さんの故郷の御代田に引っ越して同じ屋号の店を始めたという。なんともロマン溢れる話ではないか。
揚げ焼きそばは10分弱で配膳された。40センチほどもある大きな楕円形の皿から、麺がはみ出んばかりの盛り付けだ。「酢をかけて食べてね」とのこと。どれ、いただこう。
麺は極太の揚げ麺。泥鰌のような太さだ。餡の具は豚肉・モヤシ・人参・ニラ・キャベツ。粘度は普通で、意外にあっさりめの上品な味わいだ。
肉は一切れだけだったが、その代わり野菜がたっぷり使われている。ボリュームも多く、一皿で満腹になった。サイドメニューも頼もうかと思ったがやめといて良かった。
食事中に女将さんとも話し込んだ。新宿の岐阜屋は2軒あったらしいが、その後経営者も代わって今に至るらしい。
「随分と行ってないから、一度行ってみようかしら」
「ぜひぜひ」
思いがけぬ心温まるエピソードに加え、岐阜屋という屋号の由来まで分かってしまった。ちなみに潔癖気味の人にはちょっとお勧めできない感じの店ではある。だがまあ、新宿の岐阜屋で大丈夫ならたぶん問題なかろう。
店舗情報 | TEL:0267-32-4129 住所:長野県北佐久郡御代田町御代田2770-1 営業時間:11:00~20:00 (中休みを挟む日もあり) 定休日:不定休 |
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主なメニュー | 揚げ焼きそば 450円 ラーメン 350円 カツラーメン 550円 チャーハン 400円 餃子 350円 |
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