本郷食堂(上土)
松本城の東、上土町と呼ばれるエリアの狭い通りに本郷食堂という店がある。いかにも昔ながらの食堂といった風情に違わず、創業昭和元年で現店主は80歳とか。あんかけ焼きそばが人気というあたりも長野の老舗に相応い。
訪れたのは土曜日の御昼時。暖簾を潜ると4卓あるテーブルは全て埋まっていた。小上がりもあるがある程度の人数で来ないと使えなさそうだ。結局、手前のテーブルに座っていた一人客のおばあちゃんと相席になった。
スタッフは二人で、店主がホールを、奥さん(?)が厨房を担当しているようだ。席に着くと、お茶と一緒にメニューを渡された。
一見の客には「評判が良いのはあんかけ焼きそばです」と伝えるのが恒例になっている。ふんふんと頷いてざっと眺めてから予定通りおすすめの焼そば(750円)を注文した。
眼の前の小柄なおばあちゃんは親子丼を注文していたようだ。それが配膳され、それから先客の分の焼きそばを作って、ようやく私の注文分に取り掛かる。忙しいはずなのに店内はなんとものんびりしている。入店してから20分以上も経ったころ、ようやく焼きそばがやってきた。
麺は極細の縮れ麺。油で揚げてあるのだがムラがあってところどころ柔らかいままだ。使われている具はキャベツ、モヤシ、人参、キクラゲ、ピーマン、豚肉と具沢山。そしてトッピングに目玉焼き。餡は粘度が高いが味付けは薄め。何の出汁だろうかほんのりとした旨味が感じられる。麺に良く馴染んで美味しい。お好みで、と渡されたソースや酢を掛けても美味い。それなりにボリュームもある。これなら評判が良いのも納得だ。
食べてる最中に3人連れの客が来て小上がりへと通された。やはり焼きそばを薦められていたが1人だけ考え込み始めた。
「んー、俺はうどんで」
「すみません、今の季節はやってないんです」
「じゃ、オムライス」
「オムライスも今日はやってなくて……」
「……」
結局チャーハンに落ち着いたようだが『孤独のグルメ』の場面を目の当たりにしてるようで面白かった。私は初めて入るお店では素直にお薦めを注文する方なのだが、敢えてそれを外すのもスリリングで楽しそうだ。まあ、後悔することが多そうだけど。
ちなみに松本にはもう一軒、本郷食堂という店があるらしい。この記事の店とは無関係らしいが、そちらもあんかけ焼きそばが人気だそうだ。そこもいずれ訪れてみたい。
店舗情報 | TEL:0263-32-1805 住所:長野県松本市大手4-12-22 営業時間:11:30~13:30、17:30~19:30 定休日:日曜・祝日、土曜は昼営業のみ |
---|---|
主なメニュー | 焼そば 650円 チャーシューメン 650円 五目そば 650円 ラーメン 500円 カレーライス 600円 カツ丼 750円 親子丼 650円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません