お知らせ


多田屋

2014年3月21日

関西にも朝から飲めるディープな飲み屋が多々あります。こちらは和歌山のお店。


頃は2011年の4月中旬。和歌山に宿泊した平日の夜、飲み屋を探して和歌山駅前までやってきた。良さそうな店は無いかとウロウロすると、バスロータリーのすぐ脇、みその商店街に多田屋という看板を見つけた。一見、普通の酒屋のようだが中でも呑めるらしい。面白そうだと店へ吸い込まれた。

和歌山駅 みその商店街 多田屋

入ってすぐ左手にU字のカウンターがある。さらに奥には座敷が、2Fには宴会場まであるようだ。広い。やはりもともとは酒屋だったそうで、右手には酒瓶が並んでいた。ちょうど隣に腰掛けていた年配の常連さんが50~60年前に店の改装をしたそうだ。歴史あるなあ。

多田屋 メニュー

壁一面には見渡せないほどのメニューが貼ってある。客のリクエストに応えて次々とメニューを増やしていったのだろう。焼き鳥、関東煮、ホルモンから始まって、無いものは無さそうなほど。

ビール大瓶(480円)と関東煮

まずはビールの大瓶(480円)と関東煮の大根(130円)とごぼ天(130円)を注文。ビールはキリンで、関東煮もすぐ出てきた。20時ごろでお腹も空いていたのだが、ようやく落ち着いた。

この店はカウンターも厨房も良く喋る女性たちが取り仕切っている。常連さんによると朝9時から営業しているとのこと。何だか池袋のふくろか赤羽のまるます家のようだ。

多田屋 店内の様子

そのお姐さんたちと常連さんの会話もいちいち面白い。下品に絡んでくるのを冷たくあしらってるようでいながらも、なんだかんだ飲兵衛たちを心配してる。

「缶詰たのもかな」
「何がいい? シーチキンか?」
「他に何ある? 鰯以外で」
「赤貝あるで」
「鯖もあるで」
「赤貝かシーチキンか鯖」
「うーん、どないしよかな」

「お勘定なんぼや、はろたるわ」
「お金さっきもろたわ、これはバス賃にとっとき」
「ほおやったか、そなな」
「おおきに、気ぃつけてな」

ツンデレか! 自分も会話に混じってみたが、関東のアクセントは和歌山弁の中で浮いてしまう。ちょっとさびしい。

豊富純米(320円)と豆腐、スジ

ビールの次はこの店お勧めの日本酒、豊富の純米(320円)へと飲みつなぐ。ついでに関東煮のスジ(130円)と豆腐(180円)を追加。豆腐が大きくて美味い。日本酒にも合う。

さらにレモンハイ(450円)を一杯お代わりして、〆に焼きそば(580円)を注文。なんのかんの駄弁ってると、白いお皿に乗せられた焼きそばがやってきた。

焼きそば 580円

常連さん「うまそうな臭いやなぁ、食べたなるわ。俺、焼きそばめっちゃ好っきゃねん」
お姐さん「食べる?」
常連さん「んー、今日はやめとくわ」

少し離れた常連さんが、ソースの臭いに釣られたようだ。気持ちは良く分かる。

麺はやや太めで柔らかく、味付けはあっさり目のソース味。青海苔と紅生姜がトッピングされている。特徴的なのは大きくザク切りにされたキャベツを中心に、ピーマンやニンジンなどの野菜がたっぷり入ってることか。きっとツンデレのお姉さん方が飲兵衛の野菜不足を気にかけて、その愛情が隠し味となっているのだろう。カウンター上のソースを追加で掛けても美味しい。

食べ終わってお勘定。

「お愛想お願いします」
「はい、えーっとお兄さんは2400円」
「(安……)」
「おおきに。こっちに来ることがあったら、また寄ってやあ」

酒場の女性はいつだって飲兵衛に優しいのだ。

多田屋

店舗情報TEL:073-436-4613
住所:和歌山県和歌山市美園町5-11-18
営業時間:9:00~22:00(日・祝21時まで)
定休日:年末年始
主なメニュー焼きそば 580円

関東煮
 大根 130円 ごぼ天 130円
 スジ 130円 豆腐 180円

ビール大瓶 480円
豊富純米 320円
レモンハイ 450円